JRAオークス(G1)ワンツー狙う金子真人オーナーにダブルスコアの圧勝!? “超”強運オーナーの「遅れてきた大物」が既走馬相手に圧勝V!

 23日、東京競馬場では牝馬3冠の第2弾、第82回オークス(G1)が行われる。

 前日最終オッズで1番人気に支持されているのは桜花賞馬のソダシ。そして桜花賞(G1)4着から巻き返しを図るアカイトリノムスメが2番人気で続いている。

 この2頭を所有するのは金子真人氏(名義は金子真人ホールディングス)。これまでディープインパクトやキングカメハメハなど、12頭ものG1馬を所有してきたJRA屈指の強運オーナーとして知られる存在である。

 そんな金子氏に勝るとも劣らない“超”がつく強運オーナーがいる。日本とメジャーリーグで長年抑え投手として活躍した佐々木主浩氏だ。

 そんな佐々木氏は、オークス前日の22日にその強運ぶりを発揮した。

 中京5Rの未勝利戦に出走したのはディヴィーナ(牝3歳、栗東・友道康夫厩舎)。もともと3月の中京でデビュー予定も馬番決定前に出走取消になるなど順調さを欠き、ようやく迎えた初戦だった。

 11頭立ての一戦に未出走で臨んだのはディヴィーナだけ。前走3着以内に好走した馬が3頭そろい、ディヴィーナは4番人気に甘んじた。

 しかし、岩田望来騎手を背に五分のスタートを切ると道中は中団を追走。4コーナー手前の手応えはやや怪しく見えたが、直線でうまく外に持ち出し、鞍上がムチを入れると豪快に先行した有力各馬を差し切った。

 衝撃だったのは上がり3ハロンの時計だ。ディヴィーナはメンバー最速の34秒0をマーク。これは同2位の34秒9を0秒9も上回った。レース後、岩田望騎手は「初戦ながらレース運びが上手でした。4コーナー過ぎから外に持ち出して、ラスト2ハロンはしっかり追おうと思っていました。最後は追った分だけ伸びてくれました。良い勝ち方ができました」と手放しで賛辞を送った。

 ディヴィーナには血統的な裏付けもある。父は晩成型の新種牡馬モーリス、母は佐々木氏が所有し、ヴィクトリアマイル(G1)2連覇を果たしたヴィルシーナ。このまま順調にいけば、今秋には秋華賞(G1)に出走していてもおかしくないと思わせるような強烈な勝ちっぷりだった。

 佐々木氏の強運ぶりは競馬ファンに広く知られているが、改めて振り返ってみよう。

 佐々木氏がこれまでJRAでデビューさせたのはディヴィーナが26頭目。母のヴィルシーナを含めて26頭のうち5頭が重賞馬で、3頭がG1馬である(シュヴァルグラン、ヴィブロス)。G1馬を所有する確率は何と11.5%(3/26)で、これは12頭のG1馬を出した金子氏の2.2%(12/541)を大きく上回る。

 また、2人の通算獲得賞金額も比べてみた。佐々木氏は僅か26頭で25億円以上を稼ぎ出し、1頭平均は約9800万円。金子氏は258億円以上を獲得しているが、デビューした541頭で割ると、1頭平均は約4800万円。所有頭数の違いはあるが、佐々木氏がダブルスコアで金子氏を圧倒している。

 オーナーとしては“少数精鋭”の佐々木氏。現在JRAで走った経験がある現役馬は、ディヴィーナ以外に半兄のブラヴァスと昨年の日本ダービー(G1)に出走したヴァルコスの3頭だけ。ブラヴァスは、近2走が金鯱賞(G2)10着、大阪杯(G1)8着とやや頭打ち状態。ヴァルコスは菊花賞(G1)8着を最後に戦線離脱中だ。それだけにディヴィーナに懸ける期待は小さくないだろう。

 金子氏を上回る強運の持ち主、佐々木氏に再び現れた大物候補。ディヴィーナの今後に注目したい。(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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