JRA武豊の「秘密兵器」がダービー後に評価急上昇!? ディープモンスター以上の素質を秘めている可能性も十分、シャフリヤールの優勝で再びスポットライト
5月30日、東京競馬場で開催された日本ダービー(G1)は、福永祐一騎手とシャフリヤールのコンビが見事に勝利。2018年に生まれた3歳馬7398頭の頂点に立った。
今年の3歳世代が生まれた18年のダービーを勝利したのも福永騎手。昨年のコントレイルに続くダービー連覇の偉業も達成することとなった。この勝利で福永騎手は早くもダービー3勝目。近4年で3勝と恐るべきハイペースで最高の栄誉を独占している。
ちなみにダービー最多勝は武豊騎手の5勝。15年からJRA所属となったC.ルメール騎手やM.デムーロ騎手より、ダークホース的な扱いだった福永騎手が「武豊超え」を狙える位置につけた。
対する武豊騎手は13年のキズナで福永騎手に貫録を見せつける勝利を挙げたが、これを最後に現在8連敗中。ライバルに比して、勝ち負けを意識できるだけの上位人気馬を確保できていないことも大きな要因となっている。
今年のダービーには、DMMドリームクラブのディープモンスターとのコンビで参戦。後方待機から3コーナーで早めに上がって行く勝負を懸けたものの、最後の直線で脚が上がって16着に惨敗してしまった。
直近のG1勝利は19年の菊花賞(G1)をワールドプレミアで制したのが最後。同馬は今年の天皇賞・春(G1)を優勝したようにチャンスのあった馬だが、自身の骨折の関係もあり、福永騎手が乗り替わっての勝利だった。
いくらトップジョッキーとはいえ、レースを走るのは馬だ。G1を勝ち負け可能な実力馬に乗ることが出来なければ、騎手の腕だけで勝利することはほぼ不可能に近い。
そんな武豊騎手にとって痛恨のアクシデントとなったのが、ヴィヴァン(牡3、栗東・池江泰寿厩舎)の離脱だっただろう。同馬は昨年の無敗三冠馬コントレイルと同じノースヒルズの生産馬で、秘密兵器とも言える存在。僚馬であるディープモンスターも評判馬だったが、ヴィヴァンもこれに勝るとも劣らない高い評価を受けていた馬だ。
昨年10月京都のデビュー戦では、後のダービー馬シャフリヤールと一騎打ちの激戦を繰り広げたヴィヴァン。レースの上がり3ハロンのラップが11秒9 -11秒6 -11秒5と極限の切れを要求された展開ながらも素晴らしい末脚の切れを見せた。しかし、スローの3番手につけた武豊騎手の好騎乗も光ったものの、シャフリヤールにクビ差で交わされて2着に敗れる。
今思えば相手が悪かったと感じられる惜敗だが、ヴィヴァンは次走の未勝利戦で単勝オッズ1.4倍の断然人気に応えて快勝。クラシック候補としてファンが喜んだのも束の間、骨折が判明し、あえなく戦線離脱となってしまった。
ところが、シャフリヤールがダービー馬に輝いたこともあり、デビュー戦で接戦を演じたヴィヴァンに期待を寄せるファンの評価はさらに高くなった。
再びスポットライトを浴びることが確実なヴィヴァンの骨折は、当時「全治6か月」という診断。11月下旬の情報だっただけに、そろそろ半年なら復帰時期が気になるところでもある。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。