JRA 川田将雅に「騎乗馬選択」の自由なし!? 帝王賞(G1)クリンチャーとの無敗コンビ解消の裏に、浮かび上がるのは主戦騎手の呪縛か
30日、大井競馬場で地方交流レースの帝王賞(G1)が行われる。
昨年は川田将雅騎手が騎乗する2番人気のクリソベリルが優勝。サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われたサウジC(G1)では7着と惨敗を喫したが、デビューから続く国内での連勝を7に伸ばした。
大井の帝王賞、JBCクラシック(G1)では連勝を飾ったクリソベリルだが、連覇を狙ったチャンピオンズC(G1)で圧倒的1番人気を裏切る4着。右後肢繋ぎの輪状靭帯を傷めたことにより、現在はトレッドミルでのキャンターを中心に調整が続いている。
ただ、クリソベリルがいなくとも、川田騎手のダートお手馬は多数。今年の帝王賞に出走表明している馬でも、クリンチャー、ダノンファラオという有力馬は同騎手が主戦を務めている馬だ。
そんな川田騎手は帝王賞でダノンファラオに騎乗予定。重賞2連勝中と勢いに乗るクリンチャーは、C.ルメール騎手に乗り替わることとなっている。
これまでクリンチャーは、川田騎手の手綱で3戦3勝。抜群の相性を誇るだけに、陣営からしても継続騎乗を希望していたに違いない。
とはいえ、ダノンファラオも3歳時に帝王賞と同舞台で行われるジャパンダートダービー(G1)を優勝。その後も浦和記念(G2)、ダイオライト記念(G2)と重賞3勝を誇る有力馬の1頭だ。
ダノンファラオに騎乗する帝王賞でも大いに期待できそうだが、記者は疑問を唱える。
「先週の安田記念(G1)では川田騎手が萩原清厩舎のダノンキングリーに騎乗して勝利しましたが、中内田充正厩舎のダノンプレミアムも出走していました。厩舎との関係性を考えればこれまで主戦を務めてきたプレミアムだったのでしょうが、キングリーで勝ち切ったあたりに野田順弘オーナーとの信頼関係が伺えますよね。
ただ、今回の帝王賞に関しては、クリンチャーや3走前に手綱を執ったオーヴェルニュなどがダノックスとは異なるオーナーの馬です。オーナーの意向という可能性も否定できないですし、仮にそうだとすれば無下に断れないですから……。川田騎手としては、他の馬に乗りたかった可能性もあると思いますよ」(競馬記者)
確かに、今年はここまでG1を3勝している川田騎手だが、高松宮記念(G1)のダノンスマッシュ、安田記念のダノンキングリーとダノックスの馬で2勝。昨年はダノンザキッドでホープフルS(G1)も制している。
オーナーの意向と考えれば、川田騎手が断れないのも当然。「1番強い馬を選んだ」と考えるのは、早計ともいえそうだ。
ただ、先週の安田記念で大金星を挙げたコンビに、勢いがあるのは確か。帝王賞でも、川田騎手とダノンの快進撃が続くのかに注目したい。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。