ダービー馬の弟アルマドラードが新天地で「覚醒」の予感!? 「ちょっとビックリ」C.ルメールも適性の高さに太鼓判、ラストイヤー藤沢調教師に秋の楽しみ増えた?
13日、東京競馬場で行われた3R・3歳未勝利戦は、C.ルメール騎手の2番人気アルマドラード(牡3、美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝。昨年10月のデビューから4戦目にして初勝利を挙げた。
アルマドラードは父キングカメハメハ×母ラドラータという血統。全兄に2017年のダービー馬レイデオロ、19年のエプソムC(G3)を優勝したレイエンダがいる良血である。関東の名門・藤沢和雄厩舎が擁するダービー馬の全弟は、デビューからすべてルメール騎手が手綱を執って来た。
クラシック候補の呼び声もあったが、ここまで芝に使われた3戦すべてで1番人気に推されていたがまさかの3連敗。初めてダートに転戦した今回、2番人気となったが、難なく初勝利を手に入れた。
芝で伸び悩んだ良血馬の真骨頂はダートの場だったのかもしれない。
ルメール騎手が「ちょっとビックリした」と驚いたほどのダート適性を見せた。
“ダート”ではと注文は付いたものの、その勝ちっぷりに「能力はありそう」と、手応えを感じるコメントを残したことからも、次走でも勝ち負けの期待は大きい。
16頭立てのダート1600m戦。好スタートを決めたアルマドラードは、そのままハナを奪う勢いでダッシュする。このまま逃げるかに思われたが、ロードレイラインが主張したため、一旦先に行かせて内目の3番手からの追走。
最後の直線を迎え、そのまま押し切りを狙うロードレイラインの直後から抜群の手応えで抜け出しを図るアルマドラード。残り400mを過ぎた頃に、一瞬前が塞がりかけたが、バテたクリーンドリームをパスすると、懸命に粘るロードレイラインを交わして先頭でゴール。1馬身1/4の差をつける完勝だった。
「勝ち時計自体は目立たないですが、楽に抜け出す完勝で悪くない内容でした。兄が芝で結果を出したため、この馬も芝を使われていましたが、ダートに適性がありそうですね。
血統的にも芝ダート兼用のキングカメハメハ産駒ですし、ルメール騎手のコメントから次も勝ち負けに期待できそうです。順調にいけば重賞も視野に入って来そうな雰囲気でした」(競馬記者)
来年2月の引退が刻一刻と近づきつつある藤沢和調教師。関東の名伯楽とルメール騎手に初めて日本ダービーのタイトルをプレゼントしてくれたレイデオロの全弟。新天地で覚醒の期待が懸かるアルマドラードが、ラストイヤーの花道に新たな楽しみを残してくれるか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。