JRA武豊VS川田将雅「元お手馬」対決で分かれた明暗! アドマイヤビルゴ「再登板」待望論も…… 宝塚記念(G1)アリストテレスで存在感をアピールできるか
13日、東京競馬場で行われた古馬の中距離重賞・エムソムC(G3)は、石橋脩騎手の3番人気ザダルが優勝。同馬は5度目の挑戦で初めての重賞勝ち。秋の飛躍を感じさせる快勝だった。
同馬の父トーセンラーはディープインパクト産駒。2着に入ったサトノフラッグ、3着ファルコニアもディープインパクト産駒ということもあり、3着以内をディープインパクトの孫と仔が独占した。
そんな一戦で、別の意味で注目を集めたのは元お手馬同士の対決だ。
武豊騎手はマイラプソディとアドマイヤビルゴ、川田将雅騎手はファルコニアとヴェロックスとコンビを組んでいた。レースでは武豊騎手がマイラプソディ、岩田望来騎手がアドマイヤビルゴ、川田騎手がファルコニア、浜中俊騎手がヴェロックスに騎乗した。
当然ながら、騎乗依頼はオーナーサイドや厩舎の兼ね合いも大きいが、トップクラスのジョッキーの場合は、騎手の意思を尊重されることも珍しくはない。
それだけに、騎手側の心理としても騎乗馬が選択しなかった馬に先着を許すことだけは避けたいところだろう。
フルゲート18頭立ての芝1800m戦。逃げたエアアルマスが刻んだペースは、1000m通過58秒8と平均的なラップ。中団を進んだヴェロックスとマイラプソディがそれぞれ4着と11着。後方待機策を採ったファルコニアとアドマイヤビルゴがそれぞれ3着と7着という結果に終わる。
川田騎手はファルコニアで選ばなかったヴェロックスに先着することに成功したが、武豊騎手は選ばなかったアドマイヤビルゴに先着を許してしまった。マイラプソディは武豊信者としても有名なキーファーズの所有馬、アドマイヤビルゴは故・近藤利一さんが遺言で武豊騎手を指名したといわれる縁のある馬。武豊騎手にとっても苦渋の選択だったかもしれない。
次走でのコンビ復活を望む声も根強いが、再登板はあるだろうか。
ただ、肝心の武豊騎手の調子がもう一つ上がってこないのは気掛かり。現在重賞で11連敗中でもあり、馬券圏内に一度も入れていない。
宝塚記念(G1)は、アリストテレス(牡4、栗東・音無秀孝厩舎)とのコンビで出走を予定しているが、そろそろ存在感を見せたいところ。
宝塚記念の芝2200mはこれまで3戦2勝2着1回と、アリストテレスが得意としている距離だけに、レジェンド騎手の奮起に期待したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。