JRA宝塚記念(G1)「単勝1.4倍」キタサンブラックが「不可解」な凡走! 武豊でさえ気付かなかった「綻び」がクロノジェネシス、レイパパレに襲い掛かる!?

グランプリ3連覇を狙うクロノジェネシスを信用してもいいのか

 27日、阪神競馬場では前期競馬を締めくくる宝塚記念(G1)が開催される。

 その年の総決算的な意味合いも強い有馬記念(G1)に比べ、もうひとつ盛り上がりを欠く夏のグランプリながら、今年は昨年両レースを制したクロノジェネシス(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)と、今年の大阪杯(G1)で強敵相手に4馬身差の逃げ切りを決めた新星・レイパパレ(牝4、栗東・高野友和厩舎)の対決は非常に楽しみである。

 その一方、馬連5098円、3連複38468円、3連単162006円の平均配当が物語っているように、宝塚記念といえば荒れるレースとしても有名だ。過去10年、1番人気に支持された馬はわずか2勝。単勝オッズ1倍台に支持された大本命でさえ、2015年ゴールドシップ(15着)、16年ドゥラメンテ(2着)、17年キタサンブラック(9着)と人気を裏切った。

 確かな能力を持つ馬でも、状態に不安があると力通りの決着とはならない。それだけに各馬の状態の見極めが重要だ。

 ではなぜ、宝塚記念はこれほどまで、人気馬がその実力を発揮できないまま、凡走を繰り返してしまうのか。その理由の一つは、初夏に差し掛かった6月下旬という開催時期が大きく関係していると考えられる。

 春競馬で古馬の目標は古くから春の天皇賞(G1)が主流とされてきた。だが、17年からそれまでG2だった大阪杯がG1に昇格。これにより大阪杯、天皇賞、宝塚記念とG1レースを3連戦する競走馬の心身に掛かる負担が、以前に比して大きくなった。

 また、宝塚記念より前に目標とするレースを使われるため、宝塚記念を迎えるまでに余力が残っていないと、「勝負の前に燃え尽きてしまっていた」ということにもなりかねない。

 その最たる例が、キタサンブラックが単勝1.4倍の圧倒的人気を裏切って9着に惨敗した17年の宝塚記念だろう。G1に昇格したばかりの大阪杯で初代チャンプとなったキタサンブラック。続く春の天皇賞では史上4頭目となる連覇を達成し、06年にディープインパクトが記録したレコードを11年ぶりに塗り替えた。

 そして、キタサンブラックの鞍上はディープインパクトの主戦でもあった武豊騎手。大多数のファンが、圧倒的な強さでG1を連勝した同馬の勝利を疑わなかったのは無理もない。

 しかし、このレコード勝ちこそが、思わぬ凡走のサインだったかもしれない。

無敗で大阪杯を制したレイパパレに不安は?

 福永祐一騎手が逃げ、佐々木オーナーと禍根を残したシュヴァルグランの奇襲があったとはいえ、いつもなら手応えよく抜け出す最後の直線で、キタサンブラックは抵抗することもなくズルズルと後退。この不可解な凡走に武豊騎手も「正直、分からない」と首を傾げた。

 G1となって、より消耗が激しくなった大阪杯を使われた上に、淀の3200mを走る天皇賞でレコード勝ちの激走をした馬が、疲れを残していないはずがない。

 これが無関係でなかったことは、同レースで2着のシュヴァルグランも宝塚記念で8着に凡走したことからも察しが付く。2頭が力負けではなかったことは、同年にキタサンブラックが秋の天皇賞(G1)、有馬記念(G1)を制覇。シュヴァルグランがジャパンC(G1)を優勝したことからも分かる。


 だが、主戦騎手でさえ気づかなかった「綻び」も、細部まで関係者と強固なパイプを持つことができれば「本当の状態」を見極め、致命的な不安要素を見抜けた可能性がある。

 実はこのとき、キタサンブラックを担当する辻田厩務員は「自分からノッていくというか、内面からにじみ出てくるものがないんですよね。こういうことは初めてで……」と、事前にいつもとは違うパートナーの変化に気付いていたのだ。

 ところが、こういった情報を多くのメディアは大きく報道せず、キタサンブラックの勝利がもはや既成事実であるかのように、耳障りのいいコメントばかりが報じられた。その結果、我々一般のファンは、レコード勝ちという表面的なインパクトばかりに目を奪われて、競走馬が生き物という重大な事実を見落としてしまった。

 そうさせられたのは、大本命馬の好調を伝えたTVや新聞などの一般のメディアの情報を鵜呑みにしてしまったからにほかならない。

 彼らは最終追い切りのジャッジこそ見届けても、刻一刻と変化する状況の変化まではわからない。相手が生き物である以上、レース当日に表面化するほんの些細な異変に気付くことが出来ないのは当然だ。

 これに対し、本当に重要なのは能力を発揮できるだけの状態にあるのか、馬の状態を正確に見極めることができるのかである。

馬連だけで29万5000円を荒稼ぎ

 今年の宝塚記念に出走していれば人気確実だったコントレイルは大阪杯の疲れが抜けず、デアリングタクトはクイーンエリザベス2世C(G1)後に右前肢繋靭帯炎を発症し、いずれも宝塚記念を回避。決戦を前に戦線離脱という憂き目に遭った。

 上位人気が予想されるクロノジェネシスやレイパパレにしても状態の判断を誤れば、危険な人気馬となる可能性は十分にある。

 にもかかわらず、残念ながら我々にはそれを知る手段がない。なんともどかしいことだろうか。

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馬連30万3000円、春G1はなんと10戦7勝、馬連だけで139万円獲得

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グランプリ3連覇の掛かるクロノジェネシスですが、主戦の北村友一騎手の負傷によって今回はC.ルメール騎手へと乗り替わりました。一見、鞍上強化に思えるこの乗り替わりも決してプラスとならない可能性があります。

また、大阪杯を圧勝したレイパパレにしても、コントレイルが同レースの疲れで回避したように、重馬場を激走した疲れは必ずあるでしょう。付け入る隙は十分にあると考えていますよ。

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