JRAイメージはリスグラシュー!? 期待の2歳馬ルージュラテールが出陣!「レッド軍団」もとい「ルージュ軍団」知名度向上への切り札となるか
今月から始まった2歳新馬戦は、2週間ですでに11頭が初陣を飾った。
今週末(19~20日)には、札幌、東京、阪神の3場で計7鞍の新馬戦が組まれている。このうち20日(日)の阪神5R(2歳新馬、芝1600m)でデビューを予定しているのがルージュラテール(牝2歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
東京サラブレッドクラブ(TC)の所有馬で、父がハーツクライ、母はレッドメデューサ、半姉には2019年マーメイドS(G3)2着のレッドランディーニ(父ディープインパクト)がいる。一口7万5000円(総額3000万円)で昨夏に募集され、先行募集で満口になるという人気を集めた。
「募集された当初から牧場での評価は非常に高く、体幹の強さや瞬発力が褒められていました。今年3月までノーザンファーム早来で順調に乗り込まれ、4月上旬にはノーザンファームしがらきに移動。長距離輸送でも馬体重を減らすことなく、欠点らしい欠点がなく優等生扱いを受けていましたね」(競馬誌ライター)
5月中旬には栗東に入厩し、ゲート試験も一発でクリア。藤岡康太騎手を背にデビュー戦を迎える。入厩後も評判に違わぬ動きを見せており、速い時計を初めて出したのが先月26日の栗東坂路。2勝クラスの4歳馬モズピンポンと併せて、53.3-38.9-26.1-13.7を馬なりでたたき出した。
矢作調教師の期待も大きく、『スポーツ報知』のPOGブログによると、「リスグラシューぐらいのイメージで」と誰もが知るG1・4勝の名牝の名前が同調教師から出るほど。
ただし、出走予定のレースには強敵が揃いそうだ。ロードカナロア産駒で川田将雅騎手が騎乗するダノンスコーピオンを筆頭にフランケル産駒のショウナンハクラクや近親にペルシアンナイトがいるリーブズオブグラスなどハイレベル。勝ち上がるのは容易ではないだろう。
それでも期待は日に日に膨らんでいる。16日の最終追い切りは、栗東坂路で51.7-38.1-24.7-12.1というこの日の2歳2番時計。理想的な加速ラップを刻み、状態は万全だ。
東京TCの期待も大きい。これまでレッドファルクス、レッドディザイア、レッドリヴェールという3頭の平地G1馬を送り出した。ファンの間では「レッド軍団」として知られるバイヤー系の一口クラブだ。
実は現3歳世代から牝馬には「レッド」ではなく、「ルージュ」という冠名が与えられている。しかし、現3歳世代で活躍したのは京都新聞杯(G2)を勝ち日本ダービー(G1)にも出走したレッドジェネシス、デイリー杯2歳S(G2)勝ちのレッドベルオーブ、青葉賞(G2)3着のレッドヴェロシティなど牡馬ばかりだ。
一方、“初代ルージュ”の牝馬勢は12頭がデビューしたが、勝ち上がったのは5頭だけ。その5頭はそろって1勝しか挙げておらず、牝馬クラシック戦線に加わることもできなかった。
「今年の3歳牝馬は例年以上に小粒でした。会員以外の一般のファンは牝馬の冠名が『ルージュ』になったことを知らない人も少なくないかもしれません(苦笑)。『ルージュ軍団』の知名度を上げるためにも、ルージュラテールにはぜひ初陣を飾ってもらいたいですね」(同)
矢作調教師が引き合いに出したリスグラシューは新馬戦で2着に敗れたが、ルージュラテールは期待に違わぬパフォーマンスを発揮してくれるのか。2世代目を迎えたルージュ軍団の逆襲が始まろうとしている。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。