ダノンスコーピオン「G1級」の豪脚が炸裂! 元JRA安藤勝己「伝説の新馬戦」になるかもしれないと高評価、ダノンザキッドの悪夢払拭に大きな期待

 20日、阪神競馬場で行われた5R新馬戦は、川田将雅騎手の1番人気ダノンスコーピオン(牡2、栗東・安田隆行厩舎)が優勝。師弟コンビ・川田騎手×安田隆師の期待馬がデビュー戦を鮮やかな勝利で飾った。

 単勝オッズ1.3倍と断然人気に支持されたのも納得だ。最終追い切りでは、3頭併せの最後方から古馬相手に凄まじい切れ味を見せて最先着。指揮官は調教通りにさえ走れば勝てると好評価していたほどだった。

「調教で感じていた課題を随所に見せながらの競馬でしたが、まずは勝てたことが何よりです」

 コンビを組んだ川田騎手がそう振り返ったように、見た目に分かりやすい大楽勝とは言えない内容。稍重の馬場とはいえ、勝ち時計の1分38秒7は平凡にも感じる。

 ただ、スローペースから直線だけの勝負を切れ味だけで差し切った勝ちっぷりには、高い評価を与えていいだろう。

 前評判の高い馬が揃ったこともあって7頭立ての少頭数となったレース。内からグランデが逃げてルージュラテールが2番手に付ける。ダノンスコーピオンは好スタートを決めたものの、行き脚がつかない。川田騎手も促しながらの追走となり、中団から後ろの5番手からの競馬を強いられた。

 3コーナーを過ぎて徐々にペースが上がった勝負所でもダノンスコーピオンは反応が悪い。川田騎手のアクションにも反応せずに、最後の直線では後ろから2番手の位置まで置かれてしまった。

 しかし、追い出されてからはそれまでとは一変。大外に持ち出されると末脚を爆発させた。一気に先行各馬を飲み込むと、先に抜け出していたルージュラテールをゴール前で捉えて差し切り勝ち。着差こそクビだったが、それ以上にダノンスコーピオンの強さを感じさせる内容だった。

「思った以上にズブかったですね。道中の手応えも追っつけ通しで、危なっかしかったです。川田騎手も調教で課題があると感じていたのは、こういった部分かもしれません。

ただ、直線での伸びは大物感十分の切れ味。ロードカナロア産駒ですが、距離が延びてよさそうな雰囲気がありました」(競馬記者)

 元JRAの安藤勝己氏が「G1級が何頭かおって、ゆくゆく伝説の…ってなるかもしれないよ」と評したハイレベルの一戦。ダノンスコーピオンという名の通り、直線だけの“一刺し”で決めたデビュー勝ち。

 昨年はダノンザキッドでホープフルS(G1)を制したものの、皐月賞(G1)で15着、日本ダービー(G1)目前で骨折回避という悪夢に襲われたダノン軍団。奇しくも同じ師弟コンビが送り込むダノンスコーピオンは、期待に応えることが出来るだろうか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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