「死活問題」発生に競馬YouTuberが絶滅の危機!? 突然の動画削除にファンも動揺…… チャンネル配信者らに何が起こったのか
ならレース映像を使用しなければいいという話にはなるが、それでは動画という媒体を用いる意味合いが少なくなる。競馬予想動画はただ音声が入るだけで、新聞の文字による予想との差異が少ない。また、予想をしているだけの風景を撮った動画はレース映像がないと、ただ演者が騒いでいるだけの味気ないものとなりかねない。そのため、競馬YouTuberにとってレース映像を封印せざるを得ない状況は「死活問題」になる可能性が高い。
著作権侵害申し立てをYouTube側が認め、対象の動画を削除していることを踏まえると、これを知りながら動画を投稿してきた競馬YouTuber側に非があるだろう。JRAのホームページに『当ホームページに掲載の記事・写真・映像などの無断複製・転載は許可しておりません。また、映像へのリンクも営利・非営利に関わらずお断りします』と明記されており、許可を得ずレース映像を用いた動画は規約違反になる。
一方で、レース映像を用いた競馬YouTuberの中には著作権法32条の「引用」を主張する者が存在する。「引用」は著作権法上の要件を満たしているのであれば、著作権者の同意を必要とせず著作物を使用することが可能な著作権法の例外の1つである。また、YouTubeは二次創作を認めているため、レース映像を用いた動画が二次創作と認定されるのであれば、今後もレース映像を用いた動画は投稿可能となる。JRAがこれらのルールに対し今後どのような対応をするのか注目である。
ネット上の競馬ファンからは「違反なのだから消されても仕方がない」と容認する声が大勢である一方、競馬YouTuberが事実上の活動停止に追い込まれている現状に、ファンからは戸惑いの声も出ている。
果たして、JRAが今後どのような対処をとるのか。競馬YouTuberに未来はあるのだろうか。少なくとも、先日「ファスト映画」動画投稿者のように逮捕者が出ないことを祈るばかりである。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。