ウマ娘効果でJRA「上半期699億9409万6100円アップ」は幻想!? 前年比106.0%の絶好調も「ゲームはしても馬券は買わない」人々の存在
27日、上半期の日程が終了したことを受け、JRA(日本中央競馬会)が上半期の売得金を発表。1月からの売得金は1兆5452億6279万7300円で、前年比106.0%となった。金額にすれば2020年の同1兆4752億6872万8200円から699億9409万6100円のアップとなった。
長く続くコロナ禍で様々な興行が収益を落としている中、改めて健在ぶりを見せつける格好となった競馬界。
一時の無観客開催は脱したとはいえ、未だ縮小開催が継続されている中でも馬券売上が好調を維持できたのは、やはりインターネット投票の普及充実が大きい。ステイホームで楽しめる娯楽としての定着は、今後も競馬というコンテンツの大きな強みになるだろう。
ただ2021年上半期の競馬の「主役」は、彗星のごとく登場した大ヒット競馬ゲームアプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)ではないだろうか。
今年2月24日にリリースされた『ウマ娘』は、アニメ放送やイベント開催と相まって瞬く間にファンを虜にした。発売からわずか4ヵ月程度ながら、すでに800万ダウンロードを記録。この6月28日も新キャラクター「エルコンドルパサー」の登場発表がトレンド1位になるなど、その勢いは留まるところを知らない。
これはJRAにとっても嬉し過ぎる誤算ではないだろうか。
とはいえ『ウマ娘』はあくまでゲームであり、さらに言えば実在馬の名を冠したウマ娘たちが、馬の代わりにレースを走っているため、馬が主役の実際の競馬とは明らかに一線を画している。当然、『ウマ娘』と競馬には隔たりがあり、ゲームをプレイするのと馬券を購入することの間には、さらに大きな隔たりがある。
800万ダウンロードされた『ウマ娘』プレイヤーの中にもゲームはプレイするが、実際の競馬には興味がない、馬券を買うつもりもないという人は大勢いるだろう。
さらにJRAの2021年上半期の売得金が前年比106.0%だったとはいえ、昨年の上半期は新型コロナウイルスによって大きな混乱の最中にあった。競馬も無観客で開催されており、馬券売上にも大きく影響したことは想像に難しくない。
果たして、今回の数字をそのまま「ウマ娘効果」と鵜呑みにして良いのだろうか。