JRAデビュー2年目の若手がサイレンススズカの「大逃げ」再現!? ベテラン内田博幸も怯んだ逃走劇、見守った観衆からは拍手喝采の大絶賛
先週、阪神競馬場で行われた上半期の総決算・宝塚記念(G1)は、C.ルメール騎手がテン乗りのクロノジェネシスを巧みにエスコート。同馬にとっても牝馬で史上初となるグランプリ3連覇の偉業を成し遂げた。
ルメール騎手自身、一度も馬券圏内すら入れない6連敗中だった宝塚記念で初勝利。
クロノジェネシスの凱旋門賞(仏G1)挑戦に向け、レース後には「誰が乗るかはオーナーさんが決めるので」としつつも、本馬がヨーロピアン血統であること、「柔らかい馬場でも凄く良いパフォーマンスが出来るので、海外、特にフランスでは良い結果を出すことが出来る」とコメント。パワーを要する欧州の馬場にも適性がありそうなパートナーの凱旋門賞挑戦に向けて、続投をアピールしていた。
その裏開催となった東京競馬場では、デビュー2年目の若手・小林脩斗騎手(美浦・奥平雅士厩舎所属)がアッと驚く逃走劇で大波乱を演出した。
小林脩騎手は8Rの3歳上1勝クラスでコスモスタック(牡4、美浦・堀井雅広厩舎)に騎乗。同馬は2019年11月に東京で新馬勝ちしたものの、以降は16連敗。約1年8カ月の間、勝利から遠ざかっていたのだから、他の騎手からノーマークだったことも頷ける。
13頭立てのレースで、単勝オッズ67.3倍の11番人気での逃げ切り勝ち。馬単3万2570円、3連単13万9340円という大波乱の立役者となった。
芝2000mのレース。まず、ポンと好スタートを決めたのはノーダブルディップ。これに最内からニシノオイカゼが並び掛けてハナを奪う構えを見せる。これに外から競り掛けていったのがコスモスタックだ。
一旦はニシノオイカゼの内田博幸騎手が抵抗するも、引き下がる気配のない小林脩騎手に気圧されたのか2番手に控える競馬に作戦を変更。内田騎手としても強引に競り合って、人気薄と共倒れになっては好スタートを決めた意味がない。この選択はやむを得なかっただろう。
だが、ハナを取ることに成功したコスモスタックと小林脩騎手が違ったのはここからだ。
向こう正面に達しても手綱を緩めることなく後続との差を広げ、2番手で追走するニシノオイカゼでさえ10馬身以上も離す大逃げとなった。前半1000mのラップは59秒5.時計の掛かり始めた最終週の東京開催で、これは明らかにオーバーペースにも映る。
そして、最終コーナーでも後続を大きく離したまま、最後の直線を迎えたコスモスタック。これだけ飛ばしていれば、普通なら余力は残ってないはず……。誰もがここでお役御免と感じたに違いない。