外国馬が来ないジャパンCは「廃止」した方が早い? 国際競走新設へ臼田理事「8月に間に合うよう」JRAの懸命な努力もファンの共感を得られない理由
28日、JRA(日本中央競馬会)が大阪で関西定例会見を開き、11月のジャパンC(G1)の外国馬誘致を促すため、同週に国際競走を新設することを発表した。
1着賞金が日本最高額の3億円となるジャパンCだが、今や日本競馬を代表する国際競走としての存在意義は「地に落ちている」と述べても過言ではないだろう。
昨年こそフランス馬のウェイトゥパリスが何とか参戦に至ったが、一昨年は史上初の外国馬出走ゼロ……。10月に米国で開催されるブリーダーズC、12月の香港国際競走に挟まれる格好で、一人負けのような状況だ。
この状況は、JRAにとっても小さくない懸念材料になっており、昨年には問題視されていた輸入検疫の複雑さを解消するため直接、東京競馬場に入厩できる検疫施設の建設を発表。すでに今年4月から着工されている。国際・競走担当の臼田雅弘理事によれば「2022年から使えれば」とのことだ。
その上でこの日、JRAはジャパンCウィークに2勝クラスと3勝クラスを2鞍ずつ計4鞍の国際競走を新設することを発表。秋競馬の番組が決まる8月1日にも正式に決定される見込みだ。
この結果、外国馬の出走枠を増やすことで、来日する海外の陣営は帯同馬もレースを使いやすくなる。環境面を整え、ジャパンCへの外国馬出走を促すことが最大の狙いだ。日本最大の国際競走の復活へ、有効な試みであることは間違いないだろう。
だが、これで劇的な改善を見込むことは難しいようだ。
「ジャパンCの外国馬出走問題はJRAにとって長年の課題で、これまでも賞金の増額など、様々な手を打ってきました。そういった中で東京競馬場に直接入厩できる検疫施設の建設や、今回の国際競走の増設は『いよいよJRAが本腰を入れ始めた』といえるほど画期的な施策だと思います。
ただ、そもそも根本的な問題は海外馬が、ジャパンCでまったく活躍できなくなったことではないでしょうか。そこが解決されない限り、いくらレースの賞金を上積みしても意味がないですし、環境面を整えても大きなセールスポイントにはならないと思います」(競馬記者)
実際に、近年のジャパンCにおける外国馬が馬券圏内(3着以内)に好走したのは、2006年のウィジャボード(3着)が最後。2006年以降で掲示板(5着以内)まで広げても2009年のコンデュイット(4着)、2017年のアイダホ(5着)が増えるだけ。
ここまで絶望的では、ジャパンCを選択肢にする海外陣営が少数派になることも当然だろう。