JRA福永祐一「かみ合ってない」2年目ドゥラメンテに辛口評価!? セレクトセール「平均1250万下落」で 急上昇モーリスにまさかの”逆転”負け
13日まで開かれた国内最大級のセリ市「セレクトセール2021」。2日間の落札総額は225億円を超え、過去最高を更新、盛況のうちに幕を閉じた。
今年の1歳馬が最終世代となるディープインパクト産駒や、今年の当歳馬が初年度となるレイデオロ産駒などが注目を集めるなか、初年度産駒のデビューから丸1年が経過したドゥラメンテとモーリスの産駒が明暗を分けたようだ。
「初年度から弥生賞を勝ったタイトルホルダーを出したドゥラメンテ、そしてピクシーナイトなど3頭の重賞勝ち馬を出したモーリス。現役時代は同厩でしたが、種牡馬としては同じ年に種付けを開始したライバル関係にあります。
産駒がデビューする前の期待値はドゥラメンテの方がやや上回っていたように思いますが、丸1年がたち、モーリス産駒の方がやや上という声も聞かれるようになってきました。それはセレクトセールの落札額にも表れていました」(競馬誌ライター)
【ドゥラメンテ&モーリス産駒の1頭平均落札価格(セレクトセールのみ、主取は除く)】
ドゥラメンテ/モーリス
2019年当歳 5141万円/2825万円
2020年当歳 5221万円/2533万円
2020年1歳 5177万円/2400万円
2021年当歳 5154万円/4908万円
2021年1歳 3927万円/4220万円
19年当歳セール以降、2頭の産駒1頭当たりの落札価格は上記の通りだ。19年と20年のドゥラメンテ産駒は横ばい。今年の当歳もほぼ変わらなかったが、1歳馬は実に1000万円以上も下落した。
一方、モーリス産駒も過去2年がほぼ横ばい。平均落札価格はドゥラメンテ産駒の半分ほどだった。ところが、今年は当歳馬が前年からほぼ倍増。1歳馬も大きく値を上げ、平均落札価格はドゥラメンテを上回った。
今年の平均落札価格通り、2頭の評価はほぼ同等になったと言っても過言ではないだろう。そして、ある騎手の発言から、今後は「ドゥラメンテ<モーリス」になっていく可能性が高そうだ。
ある騎手というのは今年、日本ダービー(G1)3勝目を挙げた福永祐一騎手だ。今月上旬、福永騎手は、漫才コンビ・ビタミンSのお兄ちゃんが持つYouTubeチャンネル『お兄ちゃんネル』にゲスト出演。2時間以上に及ぶリモートトークでドゥラメンテ産駒とモーリス産駒について触れる場面があった。
お兄ちゃんにモーリス産駒のイメージを聞かれた福永祐一騎手。「絶対これから走ってくると思う。3歳より古馬になってから。馬がいいもん、やっぱり。エピファネイアもモーリスもサンデーサイレンスの3×4ができる種牡馬(なのが大きい)」と初年度産駒が4歳になる来年以降の更なる成長を予言した。
一方で、千鳥のノブからドゥラメンテ産駒の印象を聞かれた福永騎手は、「まだ難しいイメージ。ドゥラメンテ自身も育成段階から難しかったらしい。現状(それが)産駒にも伝わっている」とやや辛口のコメント。「いい筋肉をしているが、なかなかうまくかみ合っていない。アベレージは高くないかもしれないが、すごく突き抜けた馬が出てくる可能性も(ある)」とフォローはしたが、その口ぶりはモーリスについて話しているときのそれとは明らかに違った。
「詳細は本動画を見ていただきたいのですが、福永騎手の評価はどちらかと言うとモーリス産駒の方が上という感じでしたね。現役時代はどちらの馬にも騎乗したことがない騎手だけに、中立的な視点からの率直な意見だと思います。奇しくも今年のセレクトセールの結果と福永騎手の見解が一致した形になりましたが、今後それぞれの産駒がどういう成長曲線を描くのか楽しみです」(同)
ちなみに2頭の種付け料を見ても、モーリスの評価が急上昇していることが分かる。ドゥラメンテは1年目から400万→400万→600万→700万→1000万円と右肩上がり。一方、モーリスは400万→400万→400万→400万→800万円と4年据え置きの後、一気に倍増し、ドゥラメンテに迫る勢いだ。
自身の現役時代と同じく、産駒の本格化も4歳以降なら、ドゥラメンテを“上回る”のも時間の問題だろう。(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。