東京オリンピックで「ブロック解除」今週の新潟は関西馬の独壇場!? 絶好の稼ぎどころは、意外な「あの条件」

 今週から東京オリンピックの開幕に伴い小倉開催が休止、新潟と函館だけの2場所開催となる。この状況が東西の競馬関係者に与える意味は非常に大きそうだ。

 というのも、小倉開催が行われないということは関西馬にとっての主戦場が新潟になるからだ。

 そもそも新潟競馬場はローカル開催で関東の位置付けにはあるものの、栗東トレーニングセンターから非常に交通の便が良い。輸送の時間もストレスも少なく、栗東関係者にとって使いやすい競馬場なのである。関西馬はこの新潟競馬場で結果を出しやすく、これまでも出走数は関東馬の方が多いものの、勝率では関西馬が高い条件が多々ある。

 JRAはブロック制があり、基本的に夏の新潟開催は関東馬に優先出走権があるため、未勝利戦や条件クラスの平場戦で関西馬が新潟に出走するのは難しい。

 ただ今年は、オリンピック後の4回新潟(8/14~9/5)こそ従来のブロック制が適用されるが、この3回新潟開催はブロック制が適用されない。ゆえにオリンピック期間の3回新潟が絶好の勝負どころになる。

 その中で、ぜひとも注目してほしいのは未勝利戦だ。特に3歳未勝利と2歳未勝利は、関西馬にとっても勝負レースが多くなり、この3週間の新潟開催は地力で勝る関西馬の独壇場となる可能性が非常に高い。そもそも現代競馬は長く西高東低の流れがあり、例年関西馬が関東馬よりも多く勝利している傾向にある。そして関東よりも関西の方が良血馬や高額馬が集まる傾向にあり、特にノーザンファームや社台ファームなど大手生産者の良血馬やセレクトセールの高額落札馬、そしてサンデーレーシングなどクラブ馬の高額募集馬は関西の厩舎が中心だ。

 例えばサンデーレーシングの募集馬を見てみると、日本ダービーを制したシャフリヤールの現3歳世代で、1億円以上で募集された7頭のうち5頭は関西所属であり、最高額1億2000万円で募集された3頭はすべて関西馬。そのうちの2頭がシャフリヤール(日本ダービー)とグレナディアガーズ(朝日杯FS)なのだから、ノーザンファームの方向性としても西高東低が如実に表れている。

 そういった意味で、まぎれの起きやすい小回りコースの小倉よりも、広く力勝負になりやすい新潟にノーザンファームが力を入れてくるのは必然。中でも9月までに1勝しなければならない3歳未勝利の高額良血馬は、ノーザンファームにとって是が非でも勝たせたいはず。そして2歳馬は来年のクラシックを目指すためにも、早く勝利してローテーションを楽にしたいだろうし、小回りの小倉よりも広い新潟の方が今後の経験にも繋がるという観点からも、この新潟開催で勝たせたいという思惑が働く。

 整理すると、この3回新潟開催で狙いたい関西馬の条件は以下の通りとなる。

※3歳未勝利戦
※2歳未勝利戦
※夏の小倉開催を使わなかった馬
※ノーザンファーム・社台ファームの生産馬
※セレクトセールなどの落札馬
※社台グループ系クラブの募集馬

 もちろん高額賞金の特別戦なども無視できないが、特に関係者がこの新潟開催で力を入れると思われるのが、引退か地方へ移籍かの決断まで時間が迫っている上記の3歳未勝利と、来年のクラシックまで使えるレースが限られる2歳未勝利なのだ。

 今週末の新潟は2歳未勝利が3レース、3歳未勝利が7レース組まれている。その中には関西馬が半数以上出走するレースも見られる。まさにブロック制が適用されない恩恵を大々的に利用した感じだ。逆に関東馬はブロック制が適用される4回新潟まで待機する戦略もありそうだ。

 今週の2歳未勝利と3歳未勝利に出走する関西馬を見てみると、やはり「ノーザンファームが生産したセレクトセール出身馬」が多く見られる。それらはなかなかの良血馬や高額馬であるが、関係者はここで結果を出さなければ引退の文字が頭をよぎるだろう。それだけ勝利に向けて力が入るレースになりそうだ。

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