JRAエフフォーリアの「二の舞」は絶対に避けたい!? 暑さが苦手のC.ルメールが新潟にスポット参戦、来年のクラシック候補を見据える好素材は好走必至?
1週間の家族サービスも兼ねたバカンスを満喫していたC.ルメール騎手だが、先週のクイーンS(G3)で復帰を果たして早々に重賞制覇。激しい先行争いを尻目に、直線は最後方近くから差し切り勝ち。初コンビとは思えない好騎乗でテルツェット(牝4、美浦・和田正一郎厩舎)を勝利へ導いた。
「絶妙な仕掛けのタイミング、馬群の捌き方で1番人気のマジックキャッスルをゴール前で測ったかのように差し切りました。これには流石としか言いようがありません。
毎年、夏の北海道では安全運転の騎乗も多く、人気馬で負けるシーンも目にしますが、大きいところでは確実に集中力が違いますね」(某関東のトラックマン)
とはいえ、本人はもう少し休みたかったのが本音のようだ。
当初は8月一杯休む予定もあったらしいが、さすがに1ヶ月も休むと来春のクラシック候補を逃す可能性もある。騎乗馬の確保には苦労しないトップ騎手とはいえ、お手馬が他の騎手に流れるリスクを軽減した方がいいと、エージェントを含めて近しい人が説得したといわれている。
実際、今年のクラシックで主役を演じたエフフォーリアは、北海道デビューで横山武史騎手とコンビを組むこととなった。チャンスを逃がした形となったルメール騎手は、同馬をダービー馬と評していたように未練タラタラだった。
同馬は“ルメールファースト” で知られるノーザン系のキャロットファームに所属している馬。デビュー前から根回しをしていれば、コンビを組めた可能性も少なからずあったかもしれない。
暑さに弱いといわれるルメール騎手だけに、基本的には今後も北海道での騎乗を予定しているが、1度だけ新潟で乗るというのだ。夏の新潟は函館以上に暑くなると予想されるにもかかわらず、あえての新潟なのだから期待の程が窺える。
「お目当ては新潟2歳S(G3)に出走を予定しているアライバル(牡2、美浦・栗田徹厩舎)です。東京のデビュー戦を快勝した素質馬で、血統もククナの半弟と良血。本人もかなり評価しているだけにレースぶりには要注目です。
ノーザンファームもルメール騎手に合わせて期待馬を何頭もスタンバイしているようなので、勝ち星量産もありそうですよ」(競馬記者)
近年の牡馬クラシック戦線では有力馬に恵まれず、牡馬クラシックの勝利は2019年皐月賞(G1)をサートゥルナーリアで制して以降は遠ざかっているルメール騎手。直前で伏兵馬に乗る事や牝馬のサトノレイナスでダービーに挑戦するなど、主役級の馬で挑めていないだけに、エージェントの豊沢信夫氏が来春こそはと躍起になっているともいわれている。
あえて新潟まで乗りに行くアライバルは、エフフォーリアを手に入れることが叶わなかった昨年の未練を断ち切ってくれるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。