「荒れる理由は湿度?」JRAレパードS(G3)は4年連続10万馬券……ガチガチだったレースはなぜ荒れるレースに変わったのか
以前と比較して、オープン勝ちの実績馬、ジャパンダートダービー(G1)、ユニコーンS(G3)で好走した実力馬が少なくなったことも否めず、それが波乱に繋がっているとも考えられる。今年はジャパンダートダービーやユニコーンS、その他の地方交流重賞で馬券圏内に好走した馬はゼロで、オープン勝ちの実績がある馬もゼロだ。そう考えると今年はどの馬にもチャンスがあり、例年以上に波乱の可能性は大ともいえる。
また枠順の影響も考えられる。
新潟のダートは小回りコースでカーブがきつく、コーナリングの上手さとある程度の位置取りが要求される。その影響か、これまで8枠で勝利した馬はゼロ。7枠でさえも、勝ったのはアジアエクスプレス、ホッコータルマエといった強豪のみ。
2018年には8枠14番だった1番人気グレートタイムが敗退しているが、ちなみに同馬は黒鹿毛馬でもあり、レース後にルメール騎手は「馬が少し疲れていて、スタートから進んでいきませんでした」と語っている。そして2017年も2番人気タガノディグオ(同馬も黒鹿毛馬)、3番人気テンザワールドがともに8枠で7着以下。テンザワールドの岩田康誠騎手は「内枠ならチャンスがあった」とレース後にコメントしている。
波乱となった過去4年は1~4枠の馬が勝利しているように、内枠の馬に有利な傾向があるのは明白で、そこも見逃せないポイントである。
以上から今年のレパードSで狙いたいポイントは、
・7~8月の出走経験と好走実績がある馬
・1~4枠の馬
・芦毛、白毛、鹿毛、栗毛の馬
となる。今年の出走馬で該当するのは「ホッコーハナミチ」と「オセアダイナスティ」の2頭で、3番目にギリギリ条件を満たす穴馬「ロードシュトローム」を挙げたい。
ホッコーハナミチは第4回優勝馬のホッコータルマエ産駒というのがドラマチック。ダートの中距離なら今後も活躍が見込めそうな逸材だ。オセアダイナスティは川田将雅騎手が騎乗するというのがなんとも不気味。激しい先行争いでどんな騎乗をするのか注目したいところ。ロードシュトロームは出走馬で唯一前走が重賞のジャパンダートダービーで、オープン特別でも3着の実績がある。ジャパンダートダービーは12番人気の地方馬が逃げ切る波乱となったが、そこで0.4秒差なら悪くない。戦ってきたメンバー的にもアッと驚く走りがあっても驚けないだろう。
以上、4年連続で10万馬券が飛び出しているレパードSを検証してみた。今年はどんな結末になるのか、熱戦が続くオリンピック同様に目が離せない。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。