JRA森秀行調教師がまたも競馬界の常識を覆す!? 話題独占したヨシオに続く「奇策」が炸裂か、あのヘヴィータンクから3年…… 異例の決断は武豊とウマ娘の期待馬も関係
14日、小倉競馬場で行われるフェニックス賞(OP)に、森秀行厩舎未出走馬が登録。未出走馬がオープンレースでデビューするのは、2018年のヘヴィータンク以来となる。
ヘヴィータンクも森厩舎の所属馬であったが、出走した弥生賞(G2)では単勝194.6倍の9番人気。調教の動きも良くはなかったが、G2レースでの初出走を勘ぐった一部のファンが「これは何かあるんじゃないか?」と10頭立てのレースでブービー人気まで押し上げた。
結果はといえば、1着ダノンプレミアムから22.9秒も離される大差負け。なぜ出走させたのかという疑問も残るが、ある記者はこれには狙いがあったのではないかと話す。
「このときの弥生賞は10頭立て。JRAの重賞レースは6着から10着まで出走奨励金が交付されますから、今の計算でいくとヘヴィータンクは出走奨励金108万円(本賞金5400万円の2%)プラス、重賞競走の出走手当44万4000円を含め約150万円を得たことになります。
さらに、3歳4月23日までの登録抹消によりJRAから140万円の給付金が出ますから、1戦0勝でも290万円ほどを稼いだ計算になるみたいです。これが狙いだったのかはわかりませんが、もちろん馬主にとってはマイナスが少なくなることは有難いことでしょう。このような戦略的な戦い方も、森調教師が信頼を得ている秘訣だと思いますよ」(競馬記者)
確かに同時期の新馬戦で10着に敗れた際は、出走手当42万3000円、給付金140万円のみで、180万円程度。ルール改正などもあるため正しい額はJRAホームページなどでご確認いただきたいが、110万円ほどの差が出ると考えれば、それも戦略といえるのかもしれない。
ただ、今回は調教でのタイムなどからヘヴィータンクのときとは、期待度が大きく異なるといえそうだ。
武豊騎手が騎乗を予定するデュガ(牡2歳、栗東・森秀行厩舎)は、ウマ娘のHITで知られる藤田晋氏の所有馬。陣営は『スポーツ報知』による取材で「気が良くて新馬向きですし、ゲートも遅くありません。動きは抜群ですね。今で470キロ台。他馬を気にして鳴いたりするので、(当日の)装鞍所でどうなるかなどの課題はありますが、スピードで押し切れるのではと思っています」と期待を寄せていた逸材だ。
未出走の身でオープンレースに登録してきた「異例の決断」は何とも森調教師らしいが、これは自信の表れでもあるのだろう。
フェニックス賞は、2歳のオープン戦。1着の本賞金は1600万円であり、2着でも640万円と新馬戦勝利の700万円にそれほど劣らない賞金を獲得できる。
昨年は重賞勝ちのない7歳馬(現・8歳馬)のヨシオをジャパンC(G1)やチャンピオンズC(G1)に出走させる「奇策」を見せた森調教師。奇想天外な今回の出走登録は、色んな意味でも注目度の高い一戦となりそうだ。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。