JRA三浦皇成「渾身」エルボーが炸裂! “大先生”は薄氷勝利に「何の取り柄もない」と謙遜、小倉記念(G3)ヴェロックスに流れる世界一の血が「捨てた」川田将雅に逆襲なるか
15日、小倉競馬場で行われる小倉記念(G3)には、ファルコニア(牡4、栗東・高野友和厩舎)とヴェロックス(牡5、栗東・中内田充正厩舎)が出走。下馬評ではファルコニアがリードしているが、ヴェロックスもかつてはクラシックを沸かせた実力馬。近走はもうひとつだが、潜在能力はこのメンバーでトップクラスといえる。
そして、ヴェロックス陣営にとってどうしても負けたくないライバルが、川田将雅騎手とのコンビで挑むファルコニアだろう。
なぜならヴェロックスの主戦だった川田騎手が、同馬を捨てる格好でコンビを組んだ相手だからである。1月の日経新春杯(G2)では、2番人気を裏切る9着と大敗。レース後に川田騎手は「なぜここまで負けるのか」と敗戦を疑問視した一方、6月に行われたエプソムC(G3)では、ヴェロックスが出走するにもかかわらずファルコニアに騎乗した。
4着に敗れたヴェロックスは、3着に入ったファルコニアにクビ差で惜敗し、残念ながら先着を許してしまった。2度目の対決となる今度こそリベンジを果たしたいところだ。
そんなヴェロックスにとって、今週末の天気模様はもしかしたら頼もしい援軍となるかもしれない。ライバル・ファルコニアは、これまで良馬場の競馬しか経験がなく、渋った馬場を得意とするディープインパクト産駒。対するヴェロックスは、若葉S(L)で一度だけとはいえ稍重の経験がある。
そして、このとき3馬身差の大楽勝で負かした相手は、後の菊花賞(G1)、天皇賞・春(G1)を快勝するワールドプレミアなのだ。
実は「重巧者」の可能性もあるヴェロックスの父ジャスタウェイにもその片鱗はあった。
2014年の3月、ドバイDF(G1・現ドバイターフ)で2着馬に6馬身以上の差をつけてレコード勝ちを決めた父は国際クラシフィケーションにおいて130ポンドの評価を受け、日本競馬史上初となる単独1位にランキングされた名馬である。
その父が、国内復帰戦に選んだ同年の安田記念(G1)。主戦の福永祐一騎手が騎乗停止となり、前年の毎日王冠(G2)以来のコンビとなった柴田善臣騎手が騎乗した。雨でぬかるんだ不良馬場の中、先に抜け出した三浦皇成騎手から激しいエルボーをもらいながら、ハナ差で激闘を制した。
「普通の馬だったら諦めても仕方ないくらい、バランスを崩していました。それでも頑張ってくれて、この馬は気持ちが世界一ですね」とパートナーを労った通称“大先生”は「僕自身の話ですが、他に何の取り柄もないので(笑)」と謙遜してみせた。
つい先日、JRA最年長重賞勝利を挙げた関東の大ベテランの腕は、このときも健在。少なくともこの乗り替わりは大成功だったといえる。
この不良馬場をモノともせず勝ち切った父の血が、道悪開催の濃厚な小倉記念でヴェロックスにも大きな武器となるはずである。
今年は、10頭立ての少頭数で馬券的な妙味はそれほどない。
中途半端にファルコニアとの馬券を押さえるくらいなら、ここはヴェロックスの単勝1点勝負といきたい。
勝負馬券は8番の単勝のみ!
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。