JRA 人気漫画主人公のモデル騎手、3歳未勝利戦で異例の「ガッツポーズ」! 世界的名手も認めた技術で勝ち取った「大金星」の背景とは

 ルール改正により、19年秋競馬から「3歳未勝利戦」が無くなった。出走条件が厳しいため、通称「スーパー未勝利戦」と呼ばれ競馬ファンの間で定着していたが、廃止に伴い「3歳未勝利戦」は夏競馬の最終週で終わりとなる。

 未勝利の身で中央競馬に籍を置き、1勝クラスなどに格上挑戦することは可能だが、除外の問題も含め出走するレースは限られているため、地方競馬へ移籍するのが一般的だ。そのため、この時期の「3歳未勝利戦」は中央競馬生き残りをかけたサバイバルと表現されることがある。

 それゆえ、関係者の立場からすると、未勝利戦をやっとの思いで勝利したときの喜びはひとしおだろう。21日に行われた小倉4R・3歳未勝利戦(芝1800m)では、デビュー25年目の秋山真一郎騎手が嬉しさを露わにした。

 秋山真騎手は、42歳でこれまでJRAのG1を2勝しているベテランジョッキーだ。今年は怪我などもあって5勝と勝ち星に恵まれていないが、世界的名手のR.ムーア騎手から武豊騎手の次に上手い日本人騎手として名前が挙がったほど騎手仲間から評価の高い騎手だ。また、人気漫画「LIAR GAME」の主人公・秋山深一の名前は秋山真騎手が由来とされている。

 このレースで、秋山真騎手はブルアモーレ(牝3歳、栗東・大久保龍志厩舎)へ騎乗。前走・前々走と2着に好走しているラヴィズポイズンが単勝オッズ1.4倍の圧倒的な支持を受けたため、ブルアモーレは19.8倍の6番人気と伏兵馬の評価だった。

 ブルアモーレは、好スタートを切ると他が牽制し合う隙を見てハナへ立つ。前半3ハロン37秒3、1000m通過1分1秒6とスローペースを刻み手応え十分に直線を迎える。4コーナーでは外から後続が押し寄せてきていたが、コーナーワークと二枚腰を使い大外から強襲してきたラヴィズポイズンらの追撃を凌ぎ「大金星」を得た。

 華麗な逃げ切り勝ちとブルアモーレ待望の初勝利の影響か秋山真騎手は、ゴール後にガッツポーズ。G1などの大レースではゴール後にパフォーマンスをすることを見かけるが、3歳未勝利戦ではあまり見られない。まして、ベテラン騎手となれば尚更だ。

 秋山真騎手はレース後に「個人的に思い入れが強かったので、何とかしたいと思いました。嬉しいです。勝てて良かったです」と、ガッツポーズの理由とも見てとれるコメントをしている。

 秋山真騎手が話す「思い入れ」にあたるとされているのが、ブルアモーレ馬主の「高田秀信氏との関係ではないか」と記者が話す。

「高田氏は15年にJRA馬主となった方ですが、記念すべき1頭目がブルミラコロという馬でした。

ブルミラコロは、ダート短距離を中心に走りオープンまで昇級した馬。特筆すべきは、デビューから22戦目まで秋山真騎手が継続して騎乗したことでしょう。23戦目こそ秋山真騎手の負傷で乗り替わりましたが、これほど長くデビュー戦から同じ騎手が継続騎乗するのは、乗り替わりが当たり前の現代競馬では珍しい話です。

それほど、高田氏を始めとする陣営は秋山真騎手を買っており、秋山真騎手からしても、そんな陣営の信頼に応えたい思いがあったのではないでしょうか」(競馬記者) 

 現在、高田氏のJRAでの所有馬はブルアモーレ1頭のみだ。秋山真騎手としては、高田氏の大切な1頭を何としてでも勝たせてあげたい一心だったはずだ。その思いが、ゴール後のガッツポーズに込められていたのではないだろうか。

(文=寺沢アリマ)

<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。

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