JRA「ポツン」敗戦2頭で横山武史と和生の兄弟対決が実現! C.ルメール超えた弟に兄の意地を見せられるか、展開のカギを握るのは武豊メイケイエール
札幌開催に舞台を移しても、横山武史騎手の絶好調ぶりは継続している。
今年の函館開催でも15勝を挙げて単独リーディングを獲得。13勝で2位のC.ルメール騎手を退け、2年連続で函館リーディング奪取に成功した。
「この勢いで北海道シリーズのリーディングも獲りたいです。これからも、関係者の皆様に感謝の気持ちを持って頑張っていきたいです」
エフフォーリアとのコンビで春のクラシックを沸かせた若武者は、札幌開催も制しての北海道リーディング獲得にも強い意欲を見せたが、「有言実行」も現実的となりつつある。14日から再開した札幌開催でも順調に勝ち星を重ね、先週の開催を終えて10勝は唯一の二桁台と群を抜く数字だ。
ライバルのルメール騎手が7勝で追っているものの、勝率は18.4%。これに対し、横山武騎手は大幅に上回る30.3%をマークしており、順調なら札幌リーディングも手に入れることが出来そう。
今週末に開催されるスプリント重賞・キーンランドC(G3)では、カツジ(牡6、栗東・池添兼雄厩舎)とのコンビで参戦が決まっている横山武史騎手。前走は岩田康誠騎手が騎乗し、勝ち馬ビアンフェからコンマ1秒差の5着に入っている。重賞勝ち実績のある馬とはいえ、9番人気という低評価を覆す健闘だった。
逃げた馬が勝利したレースで、カツジは痛恨の出遅れ。最後方からの追走を強いられる不利も痛かったが、ポツンと離れた後方から繰り出した鋭い末脚は、上がり3ハロン33秒3と最速。出遅れて外を回ることがなければと思えるだけの走りを見せている。
一方、弟に負けていられないのは兄の横山和生騎手だ。
武史騎手の活躍がクローズアップされることも多いとはいえ、血統的には全兄。近年は、関係者からの信頼も厚く、勝ち数を大きく増やした。一時の不調から完全に立ち直った気配がある。
今回、コンビを組むのはエイティーンガール(牝5、栗東・飯田祐史厩舎)だ。前走のUHB賞(OP)は、スタートこそ悪くなかったものの、ポツンと後方待機策。直線で2番手からアヌラーダプラが抜け出して勝利した前残りの展開ながら、大外を回して自慢の末脚が不発に終わった。
勿体ない騎乗にも思えるが、昨年は1番人気で7着に敗れたレース。次走のキーンランドCでは、見事な巻き返しを見せて優勝したように力は足りている。今年は13着と見た目の数字こそ大きいとはいえ、勝ち馬とのタイム差コンマ6秒は、昨年と同じ。休み明けを使われた上積みを考慮すれば、前進に期待できそうだ。
いずれも後方からの競馬が仇となった前走だったが、今回は前進気勢の強い武豊騎手とメイケイエールのコンビや快速馬レイハリア、スピードのあるセイウンコウセイが出走するなど、ハイペースの展開も予想される。
巻き返しを期す2頭にとっては、前が競り合う流れとなれば、チャンスも増えるはず。
父・横山典弘騎手の参戦がないのは残念だが、重賞でチャンスのある馬に騎乗した横山兄弟対決が実現することは非常に楽しみである。
長男の意地を見せたい兄と次代のスター候補の呼び声も高い三男。果たしてどちらに軍配が上がるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。