JRA武豊が嘆き節「しかし何か1頭いますね。勝てません」……タイミングハート連闘策実らず、希代の「未勝利シルバーコレクター」にまた一歩近づく!?

「この馬の形でレースが出来ました。しかし何か1頭いますね。勝てません。距離は良いと思います」

 レース後にそう嘆いたのは、28日の札幌9R・ルスツ特別(1勝クラス)でタイミングハート(牡4歳、栗東・武幸四郎厩舎)に騎乗した武豊騎手だ。

 道中はいつも通り後方を進み、末脚を温存。2周目の向正面で徐々に進出を開始すると、先団を射程に入れて最後の直線を向いた。

 鞍上の右ムチに応え大外を鋭く伸びたタイミングハート。しかし、4角で先頭に立つ積極的な競馬を見せたモンテディオが、そのまま先頭でゴールイン。タイミングハートは1.3/4馬身差に詰め寄るのがやっとだった。

 タイミングハートは、全姉が15年ローズS(G2)覇者のタッチングスピーチ、全兄が19年菊花賞(G1)2着馬のサトノルークスという良血馬。自身は18年の1歳セレクトセールで約2億円という高値で取引され、デビュー前から注目を浴びる存在だった。

 そのデビュー戦は2歳12月とやや遅め。まだ馬ができあがっておらず、デビューから9着、7着と結果は期待外れだったが、ようやく実力を見せたのは3戦目で2着に好走した。

 このときは、勝ち上がりは時間の問題とみられたのだが……。

 3歳夏には未勝利脱出を期して北海道遠征を敢行。約3か月に及ぶ滞在競馬で5戦を消化するも、すべて2着に敗退。陣営の目論見は外れ、待望の勝利を挙げることは出来なかった。

「引退」、「地方転厩」、「格上挑戦」の3択を強いられたタイミングハート陣営。選択したのは中央に残っての格上挑戦だった。

 一息入れて出直しを図った復帰戦は、デビューから丸1年となる昨年末の中京での1勝クラス。格上馬を相手に2番人気に支持されると、3着に好走。力のあるところを見せた。その後も1勝クラスで走り続け、3走前にはハナ差の惜敗。前走の富良野特別(1勝クラス)は、C.ルメール騎手を配して確勝を期したが、1番人気を裏切り7着に敗れていた。

 再び武騎手に乗り替わった今回は自身初の連闘策。武騎手の言葉通り、この馬の形でレースは出来たが勝ち馬が強すぎた。

 これでタイミングハートの通算成績は16戦して「0-8-2-6」。一度も勝てないまま、2着は8度目というシルバーコレクターぶりを発揮している。

 ちなみに、2000年以降に生まれた馬で最も2着の回数が多かった中央未勝利馬はヤマニンリュクスという牝馬で、その成績は「0-11-3-6」。4歳春まで中央で走った後は地方に転厩したが、結局未勝利のまま引退した。

 未勝利のままついに4歳秋を迎えるタイミングハート。2億円の良血馬が勝利を味わう日は訪れるのだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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