JRA C.ルメール「お手馬多数」でノーダメージ? 新潟2歳S(G3)アライバルの敗退でダメージを被った者と、その「理由」
一方で、1番人気に支持されながらも2着に敗退となったのがアライバル(牡2歳、美浦・栗田徹厩舎)だ。道中は中団を追走、4コーナーで早くも追っ付けられると、ラスト150mは凄い脚で追い込んできたものの、勝ち馬セリフォスには1馬身1/4届かなかった。
アライバルに騎乗したC.ルメール騎手はレース後、「エンジンがかかるのに時間がかかった」とコメントしており、ハービンジャー産駒の同馬にとってマイルの距離はやや忙しかった印象だ。
「直線の長い外回りの新潟でこの発言だと、中距離路線に向かいそうな雰囲気ですね。ルメール騎手としては今回、1番人気で敗れましたが、マイル路線には新馬戦で強い勝ち方をしたコマンドラインなども控えているため、正直それほどのダメージはなかったようにも思われます」(競馬誌ライター)
しかし、アライバル陣営にしてみれば、そう簡単な話でもなさそうだ。
現在、全国リーディングをひた走るルメール騎手には、既に2歳の中距離路線にもお手馬と呼べそうな馬が複数いる。
1頭は、4日に札幌競馬場で行われる札幌2歳S(G3)に出走を予定しているジオグリフだ。
6月の東京・芝1800mで行われた新馬戦を、1分48秒2の好タイムで快勝。騎乗したルメール騎手は、「真面目でセンスがいい。坂を上ってからいい瞬発力を見せてくれた」と称賛している。札幌2歳Sの1週前追い切りでもコンタクトを取っており、好感触を得ているようだ。
先月28日、新潟・芝1800mの新馬戦で勝利を収めたイクイノックスも、ルメール騎手の中でクラシックのパートナーに急浮上したかもしれない。
父キタサンブラック譲りの大きなフットワークで、後続に6馬身の差をつけた走りは圧巻だった。ルメール騎手はレース後、イクイノックスについて「全部が良かった」と最大級の評価を与えた。
レース後、ルメール騎手が「パワーアップしたら凄いことになる」とも話していることからも、同馬の素質に相当惚れ込んでいることが伺える。
「マイル戦とはいえ、敗戦を喫したアライバルは、クラシックのパートナーとして、序列がやや下がってしまった可能性もあります。今後、ルメール騎手に乗ってもらえなくなるようなことがあれば、新潟2歳Sの敗戦はアライバル陣営的には結構なダメージだったかもしれません」(同)
多くのお手馬候補を抱えているルメール騎手。コンビ継続を願う各馬の陣営は、トップジョッキーのお眼鏡に適うかどうか、気が気でないだろう。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。