JRA【紫苑S(G3)展望】桜花賞3着馬VSオークス3着馬「キズナ産駒」がガチンコ対決!「関東の最終兵器」2戦2勝フィエールマン全妹の評価は?
11日(土)、中山競馬場では秋競馬最初の重賞である紫苑S(G3)が開催される。3着馬までに与えられる秋華賞(G1)の優先出走権を懸けた熱い戦いが予想される。
今年1月のフェアリーS(G3)を制したファインルージュ(牝3歳、美浦・岩戸孝樹厩舎)。ぶっつけで臨んだ桜花賞(G1)は8番人気ながら、勝ったソダシから「クビ+1/2馬身」差の3着に入った。
テン乗りの福永祐一騎手が内をうまく立ち回っての好走に期待は高まり、オークス(G1)では一転、4番人気に支持された。距離不安も取り沙汰されるなか、スタートでやや立ち遅れると、道中は中団からの競馬。4角では位置取りを後方まで下げ直線を迎えたが、伸びきれず11着に敗れた。
レース後、福永騎手は「陣営が長距離に向けて馬を作ってくれました。レースでも脚を溜めながら進んで行けました。しかし、直線でゴーサインを出したら、思いの外脚が残っていなくて、伸びませんでした」とコメント。やはり2400mは少し長かった印象だ。
今回は2ハロン短縮と条件も好転、かつ他馬と同じ斤量54kgなら負けるわけにはいかない。本馬はキズナの2年目産駒。1年前にはマルターズディオサがこのレースを制しており、キズナ産駒として2連覇が懸かる。
もう1頭の実績馬も同じくキズナ産駒のハギノピリナ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)だ。桜花賞には間に合わず、16番人気で出走したオークスで3着に追い込み、三連単53万円という高配当の使者となった。
2月末のデビュー戦で11着に大敗し、初勝利はデビュー3戦目。なんと桜花賞の翌週だった。そこから中1週で自己条件の1勝クラスを勝つと、さらに中2週でオークスに挑戦。ノーマークの存在だったが、後方2番手から直線大外を鋭く伸びた。2着アカイトリノムスメとはハナ差で、秋の飛躍が期待される。
今回も全5戦で手綱を取ってきた藤懸貴志騎手が手綱を取る。オークス後にはマーメイドS(G3)をシャムロックヒルで制し、自身重賞初制覇を飾った勢いのあるジョッキーだけに侮れない。
夏を休養に充てたハギノピリナだが、オークス3着で賞金加算はできていない。そのため、秋華賞出走には3着確保が絶対。春からの成長を見せられるだろうか。
春のG1で好走した2頭にとって最も怖い存在なのがエクランドール(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だろう。
全兄は長距離G1を3勝したフィエールマンという期待の良血。その兄と同じくデビュー2連勝で重賞に初挑戦する。
兄は3戦目のラジオNIKKEI賞(G3)で2着に敗れたが、評価を落とした4戦目の菊花賞(G1)を直行で勝利。その後は長距離路線で無類の強さを誇った。妹は3連勝でG1に向かえるか。
兄も管理した手塚調教師のエクランドールへの評価は高い。デビュー2連勝を決めた前走(3歳1勝クラス)後には、「決して満足できる状態ではなかったのに、このレースができるなら、もっと良くなる。秋にはパワーアップし、大きな舞台を狙うだけの力がある」と自信のコメント。兄を上回る3戦目での重賞制覇を狙う。
プレミアエンブレム(牝3歳、美浦・田村康仁厩舎)は、母がマイルG1・2勝の名牝メジャーエンブレム。2歳時から活躍した母に対し、同馬は4戦目で初勝利を挙げたやや遅咲きタイプだ。この夏は函館で2戦し、その2戦目で1勝クラスを突破。重賞初挑戦で秋華賞の権利取りはなるか。
この他には、フラワーC(G3)勝ち馬のホウオウイクセル(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)、前走の2勝クラスで古馬相手にメンバー最速の上がり33秒1で突き抜けたエイシンチラー(牝3歳、美浦・田中剛厩舎)、ワグネリアンの全妹で、2連勝中のミスフィガロ(牝3歳、栗東・友道康夫厩舎)などが出走を予定している。
秋華賞への3枚の切符を手にするのは果たしてどの馬か。発走は11日15時45分を予定している。