JRA 福永祐一「いい勝ち方ができた」名牝の産駒がデビュー戦快勝!「超高額」で立て続けにコケた一族、待望の新馬戦「初勝利」に安堵か
18日、中京4Rの2歳新馬戦(ダート1800m)は、1番人気に支持されたアスクドゥラメンテ(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)が直線抜け出して勝利。鞍上の福永祐一騎手は2Rからの3連勝で、C.ルメール騎手、川田将雅騎手に続く今年3人目のJRA年間100勝を達成した。
「いい勝ち方ができました――」
降りしきる雨の中、12年連続で年間100勝を決めた福永騎手は、納得の様子でレース後にそう振り返った。
12頭立てで行われた一戦。不良の馬場コンディションの中、1枠1番から抜群のスタートを切ったアスクドゥラメンテと福永騎手。1コーナーでは外に膨れる馬が何頭かいた中で、ロスなく内を回ると、向正面では前に馬を置いた好位3番手のインをがっちりとキープ。
3コーナーでは2着に入るナオミニデレデレヤが外から進出してきたが、福永騎手の手綱は動じず。直線入り口では前が窮屈になりかけるも、すぐに外へと切り返すと、馬群を割って力強く伸び、最後は2着馬に2馬身半の差をつける快勝を決めた。
「福永騎手のコメント通り、馬に競馬を覚えさせながらのいい勝ち方だったと思います。最後までラップの落ちることのない、いわゆる加速ラップで勝ちきっており、ここでは力が一枚抜けていた印象です。昇級しても楽しみな器だと思われます」(競馬誌ライター)
アスクドゥラメンテは2020年のセレクトセールにて1億7600万円(税込)で取引された高額馬。今回の新馬勝ちは、一族にとっても非常に嬉しい1勝となったかもしれない。
母プラウドスペルは、現役時にケンタッキーオークス(米G1)などG1・2勝を挙げ、08年にはエクリプス賞最優秀3歳牝馬にも輝いている名牝。引退後は米国で3頭出産した後、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏に購入され日本にやって来ている。
15年、ディープインパクトとの間に誕生したグレートウォリアーは、クラブ法人・サンデーレーシングにて1億5000万円もの高額で募集されたが、初戦で3着と敗退。翌年生まれた全弟のプランドラーも、同額となる1億5000万円で募集されたものの、新馬戦では5着と敗退している。
その後もプラウドスペルの産駒は新馬戦で負けを重ね、これまで日本でデビューした5頭全てが初戦敗退……今回のアスクドゥラメンテが待望の新馬戦初勝利となった。
「プラウドスペルのダート色が強すぎるのか、4年連続でディープインパクトが配合され、高額で募集されたりもしましたが、産駒はいまいち瞬発力に欠き、芝ダート共にどっちつかずといった感じでした。
父がディープからドゥラメンテに変わり、キングカメハメハが入っている分、ダートでより走れる馬が誕生したのかもしれませんね。来年には全妹も控えておりますが、早くも楽しみとなりました」(同)
「これからもっと良くなる」
福永騎手と、藤原英厩舎の組み合わせは、今年のダービーを制したシャフリヤールと同じタッグ。アスクドゥラメンテの前途も明るいものとみて、まず間違いなさそうだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。