JRA超良血馬の「大コケ」にガッカリ!? 父母に「エアグルーヴ×ベガ」、C.ルメール確保も待っているのは兄と同じいばらの道か
いずれも現役時代にターフを沸かした名牝であるエアグルーヴ×ベガ。
日本が誇る最高クラスの血が凝縮された配合でも大物誕生とはならなかった。
3日間開催の最終日となった月曜中山6Rの2歳新馬戦。ライリッズ(牡2、美浦・宮田敬介厩舎)は、2番人気に支持されたものの、直線で伸び切れず5着に敗れた。
名門ノーザンファーム出身で、オーナーは勿論キャロットファーム。デビュー戦の鞍上にC.ルメール騎手を確保し、盤石の体制で挑んでいただけに手痛い敗戦となった。
その一方、14年の桜花賞馬ハープスターを出しながらも、母ヒストリックスターから大物が生まれていなかったことは、ライリッズの不安材料だったかもしれない。
母はこれまでディープインパクト、ネオユニヴァース、ステイゴールド、キングカメハメハなど、トップクラスの種牡馬の仔を生んだものの、G1級の産駒といえるのはハープスターのみ。同馬の全弟にあたるアークライトも藤沢和雄調教師の最後のダービー馬候補として大きな期待を集めたが、クラシックの舞台に立つことは叶わなかった。これといった結果を残せないまま、3歳未勝利を敗戦したのはついこの前のこと。
ただ、ヒストリックスターと初めて配合された相手のドゥラメンテが、先月末に急性大腸炎で急死。「死んだ種牡馬の仔は走る」という競馬の格言もあることから、もしかしたら今度は大物が出るのではないかと期待したファンも少なくなかったかもしれない。
10頭立てで行われた芝2000m戦。スタートで出負けしたライリッズは、後ろから3番手の苦しい位置取り。ルメール騎手も徐々にポジションを上げていき、残り600mで外目の5番手まで進出したものの、末脚が炸裂することはなかった。
「正直、期待が大き過ぎただけという気もします。ハープスターのように、直線ではじけてくれれば楽しみもあったのですが、ジリジリとしか伸びませんでしたね。これだけの良血なら、1番人気に支持されても不思議ではないにもかかわらず2番人気。ファンも期待と不安が半分半分だったのでしょう。
父ディープインパクトのアークライトが不振だったこともあり、父がドゥラメンテに替わるライリッズにはいい意味で期待を裏切って欲しかったのですが……。まだデビュー戦しか走っていないですから、長い目で見た方がよさそうです」(競馬記者)
血統的な背景が豪華過ぎるが故に、どうしても大物誕生を願ってしまう超良血馬。このまま“大コケ”してしまうのではあまりにも惜しい。
レース前、管理する宮田師も「使いつつかなというところはあるが、伸びしろはある」とコメントしていたように、変わってくる余地は残されている。これからの成長に期待したいところだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。