JRA武豊「苦渋の決断」ディープモンスターと挑む絶望的なラスト一冠!? 菊花賞パートナー決定も一難去ってまた一難
今年の日本ダービー(G1)で16着に敗れたディープモンスター(牡3、栗東・池江泰寿厩舎)の復帰戦が、10月24日に阪神競馬場で行われる菊花賞(G1)となることが分かった。
DMMバヌーシー公式Twitterの情報によると、鞍上には武豊騎手を予定しているとのこと。菊花賞で歴代最多5勝を誇る名手は、2019年ワールドプレミア以来となる6勝目を目指す。
「長距離は騎手で買え」という競馬の格言もあるように、ダービー惨敗から巻き返しを期すディープモンスター陣営にとって、武豊騎手の継続騎乗決定は、鬼に金棒といったところだろう。
当初、神戸新聞杯(G2)から始動を予定していたヨーホーレイクとのコンビで菊花賞に向かうと見られていた武豊騎手。今回、ディープモンスターの騎乗が決まったとはいえ、素直に喜べない事情もある。
「ヨーホーレイクが調整に不安があった関係で、菊花賞への直行が発表された後のタイミングでの乗り替わり。おそらく何かしらのトラブルが発生している可能性が高そうです。これには、お手馬2頭の選択を終えていた武豊騎手もまさかの結果だったのではないでしょうか。
ただ、2頭とも血統的に母系は、どちらかというとスタミナよりスピードタイプで、距離延長が歓迎という訳でもありません。武豊騎手にとって不運だったのは、どちらに乗ることになっていたとしても、ダービーからの直行になることです」(競馬記者)
近年は調教技術の進歩もあって、直行で好走する例も増えたが、誤魔化しの利きにくい長距離は別。すでにG1を勝っているくらいの実績があるならまだしも、重賞勝ちもないディープモンスターの苦戦必至は免れない。
確かに菊花賞は、休み明けの馬にとって厳しい結果となっている。
過去10年の勝ち馬は、前走に神戸新聞杯とセントライト記念(G2)を使われた馬が9頭。ラジオNIKKEI賞(G3)から優勝したフィエールマンのときでさえ、ロングシュートが話題になったほどである
さらに遡れば、前走で二桁着順に大敗していた馬の巻き返しは、02年のファストタテヤマが16番人気で2着、08年のフローテーションが15番人気で2着といったレアケースもあるが、いずれも休み明けではなく叩いての臨戦だった。
これらを考慮すると、二択となっていた今回のお手馬のどちらにも正解はなかった可能性も高い。
デビュー前は怪物候補といわれたディープモンスターとしては物足りない現状だが、長距離戦で最高のパートナーである武豊騎手とどのようなレースを見せてくれるだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。