JRA「迷走」の大器が5馬身差の大勝利!? C.ルメールの助言“軽視”から約1年、繰り返された悪夢……遅れてきた大物に光明
26日、中山競馬場で行われた8R・3歳以上1勝クラスは、1番人気のアナンシエーション(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)が単勝1.5倍の圧倒的人気に応える勝利。デビュー戦勝利から約1年、4連敗の鬱憤を晴らす5馬身差の圧勝を飾った。
「こういうハナに行く形の競馬は初めてだったので、道中はフワフワしていましたが、楽に押し切ってくれました」
これまでのもどかしさが嘘のような圧勝劇だった。
16頭立てのダート1800mのレースで、課題のゲートを無難にクリアしたアナンシエーションは積極的にハナへ。レースの主導権を握ると、残り1000mからペースを上げる強気の競馬で後続に早めに脚を使わせると、最後の直線は独走劇。結局、石川裕紀人騎手が一度もムチを振るうこともないまま楽勝した。
「昨年10月のデビュー戦で、先日の1勝クラスを勝ち上がったタイセイシェダルに1.2秒差(約7馬身差)を付けた素質馬。デビュー戦以降、単勝1.2倍、1.4倍、2.0倍と大本命に推されるも、もどかしい結果が続いていましたが、今回はその鬱憤を晴らすようなレースでした。
ですが、正直もっと早く勝ち上がってもおかしくなかったと思います。課題のスタートさえ改善できれば、オープンや重賞でも戦えるだけの器だと思いますし、これから一気に巻き返してほしい逸材ですね」(競馬記者)
記者が話す通り、アナンシエーションはデビュー戦から前走まで5戦連続の出遅れ。スタートでダッシュがつかず後方からの競馬を強いられ、強烈な末脚で追い上げるもわずかに届かないといった競馬が続いていた。
しかし、この日は石川騎手が「隣の馬が入らなくて、中で座ってしまいました。ゲートが良くないので嫌だなと思っていましたが……」と振り返ったものの、無難な発馬。その後もダッシュがついてハナに立つと、あっさりと押し切った。
「(発走地点が)ダートスタートなのが大きかったと思いますね。これまでの5戦は東京ダート1600mを使われており、つまりはすべて芝スタート。
デビュー戦の時点で、騎乗したC.ルメール騎手が『スタートしてから1歩目、2歩目は速くありませんでした』と芝スタートを課題に挙げていたのですが、(ずっと東京ダート1600mを使われていたのは)陣営にこだわりがあったのか、たまたま偶然だったのかはちょっとわからないですね……。
いずれにせよ、結果的にはもったいない競馬が続いていただけに、今回ダートスタートのレースを使って先手を奪えたのはよかったと思います。距離もこれくらいの方が良さそうです」(同)
レース後、「上のクラスに行った方が競馬はしやすいと思います」と先を見据えた石川騎手。デビュー戦の快勝劇から約1年“迷走”が続いてしまったアナンシエーションだが、ここから巻き返せる力はあるはずだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。