JRA C.ルメール、クロノジェネシスはディープボンドより期待大!? 前哨戦快勝した馬よりも評価が上の「理由」と膨らむ日本馬勝利の「可能性」
10月3日にパリロンシャン競馬場で凱旋門賞(G1)が行われる。世界最高峰のレースに日本からは、ディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)とクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が挑戦する。
クロノジェネシスに関しては当初、前走で騎乗したC.ルメール騎手が引き続きコンビを組むのではないかとも噂されたが、最終的にO.マーフィー騎手が騎乗することとなった。
「乗せていただけるのであれば行きます」と継続騎乗に意欲を見せていたルメール騎手は、元々フランスのトップジョッキーである。06年2着になったプライドをはじめ何度も凱旋門賞へ騎乗し、凱旋門賞の雰囲気・重みを誰よりも理解している騎手の1人だ。
JRA騎手となって以降も16年マカヒキ、19年フィエールマンと2度、凱旋門賞へ騎乗をしている。それゆえ、日本定住以降も母国の大一番には注目しているようで「マスコミの報道からレースが近づいているというのを感じます」と、日刊スポーツの取材に応じている。
英国のブックメーカー『bet365』によると、現時点の日本馬のオッズはクロノジェネシスが5番人気で10.0倍、ディープボンドが7番人気で21.0倍となっている。追加登録を含めると現在まで同レースへ16頭が出走予定となっているため、比較的人気を集めていることになる。
それらを受けて、フランスの競馬専門チャンネル『エキディア』がルメール騎手へディープボンド・クロノジェネシスが凱旋門賞を好走する可能性についてインタビューを行った。
そんな凱旋門賞を知るトップジョッキーでもディープボンドのフォワ賞(G2)激走には、驚いた様子を見せていた。ルメール騎手自身はディープボンドへ騎乗経験はないが、同馬とは何度も対戦しており、「G1でも好走を続けていましたが、違いを生むには少しスピードが足りない」と評価していた。そのため、「あのような逃げ切り勝ちは驚きでした」と、答えている。
一方、ルメール騎手がディープボンド以上に好走を期待しているのが、前走の宝塚記念(G1)で騎乗したクロノジェネシスだ。
クロノジェネシスについて、ルメール騎手は「凱旋門賞で輝くことのできる、より多い資質を持っています。ディープボンドと比較しても彼女は明らかに高いレベルにあると言えます」と、大いに期待している様子を見せた。
ルメール騎手は輝ける根拠として、主に2点を挙げている。1点目は、血統が凱旋門賞に向いているということだ。
クロノジェネシスは04年の凱旋門賞を制したバゴの産駒である。また、ルメール騎手が「緩い馬場が得意です」と、話すように重馬場・稍重馬場での勝率は100%だ。そのため、日本と異なる品種で時計が掛かるタフな欧州の芝にも対応できる可能性が高い。
2点目は、クロノジェネシスが海外で好成績を挙げていることだ。同馬は今年の3月にドバイ・メイダン競馬場で行われたドバイシーマC(G1)へ出走。惜しくも仏ダービー馬のミシュリフにクビ差で敗れたが、「日本以外の場所でも才能を発揮しました」と、2着に好走したことをプラスに捉えている。
また、クロノジェネシスが現地での前哨戦を使わないことについては、「日本馬が海外に遠征して勝つときは、彼らはレース10日前に現地入りします。日本で準備を行い、現地で最終調整を行うことがうまく機能していますから」と、陣営が選んだローテーションへ肯定的な意見だ。
ルメール騎手から見れば、ディープボンドよりクロノジェネシスの方が評価は高い。そして、ディープボンドが前哨戦とはいえフォワ賞を快勝したのだから、クロノジェネシスも好走できるのではと期待が膨らむ。強力なメンバーが揃った第100回凱旋門賞だが、果たして日本馬が頂点に輝けるのか。固唾を飲んでその時を待ちたい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……