JRA【毎日王冠(G2)展望】安田記念覇者ダノンキングリーが始動! 3歳マイル王シュネルマイスターはC.ルメールと再コンビで「0秒1差」逆転狙う
10日には、東京競馬場で毎日王冠(G2)が行われる。天皇賞・秋(G1)やマイルCS(G1)へもつながる重要な一戦には今年も好メンバーがそろいそうだ。
人気を集めるのはダノンキングリーとシュネルマイスターの2頭で間違いないだろう。どちらも今春のマイルG1を勝った実力馬である。
ダノンキングリー(牡5歳、美浦・萩原清厩舎)は、皐月賞(G1)で3着、日本ダービー(G1)では2着と、3歳時からG1戦線で活躍してきた。2走前の天皇賞・秋では最下位12着に敗れ、それ以来となる7か月ぶりの実戦となった前走・安田記念(G1)は8番人気まで評価を下げていた。
グランアレグリアが1.5倍という圧倒的支持を得た一戦で、ダノンキングリーとテン乗り川田将雅騎手は中団やや後ろというポジションから直線外に持ち出すと、最後はグランアレグリアとの激しい追い比べを制した。
ダノンキングリーにとって7度目のG1挑戦で悲願達成をエスコートした川田騎手。同レースには川田騎手のお手馬で、同じダノン軍団のダノンプレミアムも出走していたが、川田騎手が選択したのは人気で下回るダノンキングリーだった。
萩原調教師は「ジョッキーが現状の力を把握して、その能力を十分に発揮してくれました。今日の勝因はジョッキーの好騎乗です」と川田騎手の手腕を称賛。「距離については対応できると思いますが、まだ本来の適性はつかめていません」と今後の路線についての明言は避けた。
この秋は無難に1800m戦から始動する。これまで3戦3勝と同馬にとってベストともいえる距離である。萩原調教師からは毎日王冠の内容次第で、先のことを考えるという趣旨の発言も出ているが、G1馬として無様な競馬はできない。
そのダノンキングリーと安田記念で対戦し、3着に好走したシュネルマイスター(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)も、秋の始動戦をここで迎える。
昨年9月のデビューからまだキャリア5戦。3戦2勝で臨んだ今年5月のNHKマイルC(G1)ではグレナディアガーズに次ぐ2番人気に支持された。テン3ハロンが33秒7という淀みないペースのなか、中団9番手という位置取り。最後の直線では先に抜け出したソングラインとの一騎打ちとなったが、ハナ差でこれを制し、4戦目で3歳マイル王に輝いた。
その後は安田記念で古馬に挑戦。ダノンキングリーと0秒1差、2着のグランアレグリアとは半馬身差と力を示した。
1800mは初めてとなるが、デビュー2連勝で臨んだ弥生賞(G2)ではタイトルホルダーの2着と2000mをこなしている。陣営は皐月賞(G1)出走も視野に入れていただけに、距離を不安視する必要はないだろう。
安田記念では横山武史騎手が代打を務めたが、今回は再びC.ルメール騎手に手が戻る。NHKマイルC後には「まだ柔らかい馬で子供っぽいところはありますが、能力は絶対あると思います。さらにパワーアップしたらハイレベルで勝てると思います」と、さらなる伸びしろにも期待が持てそう。ひと夏を越えて、パワーアップした姿を見せてくれるだろうか。
G1馬2頭を追うのは前走のドバイターフ(G1)で2着に好走したヴァンドギャルド(牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。
6か月半ぶりの実戦で手綱を取るのは、コンビ通算5戦3勝の福永祐一騎手。唯一の重賞勝利を収めた昨秋の富士S(G2)でも鞍上を務めていた。
その時は4か月半の休み明けで、もともとポン駆けが利くタイプ。さらに9~10月に行われたレースでは4戦4勝と最も得意とする季節でもある。強敵をまとめて破り、重賞2勝目を手にすることはできるか。
ケイデンスコール(牡5歳、栗東・安田隆行厩舎)は前走・安田記念こそ10着に敗れたが、今年は京都金杯(G3)から重賞で3戦連続連対していた。好相性の東京で巻き返しを図る。
ルージュバックの半弟ポタジェ(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)は3度目の重賞挑戦。姉が最も得意とした1800mで反撃を誓う。
この他には、9月の新潟記念(G3)を12番人気で制したマイネルファンロン(牡6歳、美浦・手塚貴久厩舎)、2走前の新潟大賞典(G3)で重賞初制覇を飾ったサンレイポケット(牡6歳、栗東・高橋義忠厩舎)など、左回りで実績のある伏兵陣も充実している。
秋のG1路線で活躍が見込まれる有力馬がそろった今年の毎日王冠。発走は10日15時45分の予定となっている。