JRA 武豊と「クラシック三冠」を戦った古豪がダート初参戦!近親には種牡馬入りが決まったあの「超大物」など砂の活躍馬多数、なるか驚異の「V字回復」
先週10日に行われた京都大賞典(G2)は、8歳馬マカヒキが復活の勝利。ダービー馬の5年1ヶ月ぶりの白星に、競馬場では大きな歓声と拍手が沸き起こり、ネットの掲示板やSNSも大変な盛り上がりをみせた。
一方で、同レースでマカヒキと同じく復活のVを目指していたダンビュライト(セン7歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、先頭から0秒7差の9着……こちらは惜しくも2年8ヶ月ぶりの美酒とはならなかったようだ。
次走は初のダート戦となる、11月の阪神・みやこS(G3)を予定している。
砂の舞台で再起をかける同馬は、香港のクイーンエリザベス2世C(G1)を勝ったルーラーシップの初年度産駒として、2016年にデビュー。初戦を5馬身差で圧勝すると、続くサウジアラビアRC(G3)では勝ったブレスジャーニーから0秒2差の2着。賞金の積み上げに成功し、翌年のクラシック候補の1頭となる。
年明け2走目の弥生賞(G2)で3着に入り、皐月賞(G1)の優先出走権を獲得すると、2戦目から手綱を執っていたC.ルメール騎手に替わって武豊騎手と新コンビを結成。皐月賞3着、日本ダービー(G1)6着、そして菊花賞(G1)は5着とクラシック三冠を戦い抜いた。
その翌年、4歳初戦のAJCC(G2)を勝利したものの、同年秋の天皇賞(G1)では返し馬の際に放馬して競走除外になるなど、気性難がネックとなり成績も徐々に低迷。5歳時に京都記念(G2)を優勝したが、いまのところそれが最後の勝ち星となっている。
19年の暮れにはセン馬になったが勝ちには恵まれず、キャリア初となるダートで新味が引き出せるか注目されるところである。
「ダンビュライトは近親に、デビューから6連勝でチャンピオンズC(G1)を制したクリソベリルがいる血統。同馬は翌年も帝王賞(G1)とJBCクラシック(G1)を優勝した砂の超大物でしたが、喘鳴症のため先日引退、種牡馬入りが決まりました。
ちなみに、両馬はともに音無厩舎の管理馬です。ダンビュライトのダート挑戦が決まった背景には、クリソベリルの引退や、血統的な理由などもあったのかもしれません」(競馬誌ライター)
なお、同馬の近親はクリソベリルの他にも、JCダート(G1)を勝ったアロンダイトや、ジャパンダートダービー(G1)の覇者クリソライトなど、砂の活躍馬が多数。いきなりの好走も期待できるかもしれない。
また、既に7歳と高齢の域に差しかかっているが、去勢してセン馬になったことがここにきて吉と出るかもしれない。
一般的に、競走馬は去勢すると競走寿命が長くなると言われている。これは、セン馬になることでホルモンのバランスが変化し、筋肉が柔らかくなり故障のリスクが減少することなどが主な理由だという。
セン馬で18年のフェブラリーS(G1)を制したノンコノユメは、9歳になった今年も帝王賞で2着と激走。同じくセン馬でチャンピオンズCの勝ち馬サウンドトゥルーも、今年春に11歳で引退するまで長きにわたって活躍した。ダートでは去勢された高齢馬の奮闘が目立っている。
「ウェスタールンドの例などもありますね。同馬も芝で低迷して去勢された後、初のダートとなった津軽海峡特別(1000万下・当時)で見事に勝利。8歳にしてアンタレスS(G3)を制するなど、驚異的なV時回復を遂げました。ダンビュライトにも同様の復活を期待したいところです」(同)
砂で再び快走することができれば、かつてのパートナーだった武豊騎手と再びコンビを組む機会も、もしかしたら訪れるかもしれない。古豪の新たなチャレンジに期待したい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。