JRA菊花賞「馬券圏内100%」“名門軍団”の刺客がノーザンファームに挑戦状!? 好枠ゲットでいよいよ不気味なあの逃げ馬
24日には、牡馬三冠最終戦の菊花賞(G1)が行われる。通常はフルゲート16頭の阪神芝3000mコースだが、今年は18頭によって争われる。
『netkeiba.com』の予想オッズでは、やはりノーザンファーム生産馬が優勢。1~3番人気を含めた上位人気を占めている。ただし、予想1番人気のステラヴェローチェは7枠14番、同2番人気のオーソクレースは大外18番枠に入るなど、レッドジェネシス(3枠5番)以外のノーザンファーム有力馬はほぼ外目の枠に固まった。
内回りを1周半するコースでコーナーを6回通過するため、外々を通ればその分距離ロスも大きくなる。枠の並びからも、一筋縄ではいかないレースとなりそうだ。
打倒ノーザンファームの一角を担うのは、重賞勝ち馬で、4~5番人気に予想されているタイトルホルダーとアサマノイタズラ。どちらも内目の枠をゲットして勝機をうかがう。ただし、両馬とも今回は初の関西遠征で、長距離輸送を克服しなければいけない。菊花賞は過去10年の連対馬20頭の内19頭が関西馬という厳しいデータもある。
その上、春のクラシック2冠を制したエフフォーリアとシャフリヤールが不在となれば、俄然夏の上がり馬に注目したくなる。
出走18頭中、自己条件クラスを2連勝中の馬は3頭。4戦3勝のエアサージュ、紅一点のディヴァインラヴ、そしてドゥラメンテ産駒のアリーヴォである。
注目したいのは半兄に昨年の東海S(G2)覇者エアアルマスを持つ外国産馬のエアアサージュ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)だ。
今年1月の芝2000mで福永祐一騎手を背にデビューしたエアサージュ。好位追走から直線抜け出す強い競馬で、見事1番人気に応えた。続く2戦目は5着に敗れたが、6か月の休養を経て、夏の北海道シリーズで復帰。函館で1勝クラス、続く札幌で2勝クラスをいずれも逃げ切って成長の跡を残した。その後はトライアルを挟まず直行で三冠最終章を迎える。
兄は芝ダート問わずマイル前後の距離で活躍しているが、弟は一貫して2000m以上を使われてきた。管理する池添学師も「脚の長い胴長の馬で、距離に関して適性はある」、「長丁場の3歳馬同士のこのレースは合っている」と自信をのぞかせる。
エアサージュのオーナーはラッキーフィールドだ。「エア軍団」としても知られ、かつて女傑エアグルーヴや二冠馬エアシャカールなどを所有していたが、今は以前ほどの勢いはない。そんな「エア軍団」が菊花賞に所有馬を出走させるのは2016年以来5年ぶり。その時は6番人気エアスピネルが3着に入る激走で、戦前の距離不安を払拭した。
実はこの「エア軍団」だが、菊花賞とは非常に相性が良く、エアスピネルを含め過去出走した4頭全てが馬券に絡んでいる。その成績は「1-0-3-0」で、複勝率は100%だ。
94年にエアダブリンが3着、00年にはエアシャカールが皐月賞(G1)に続く二冠馬に輝き、翌01年にはエアエミネムが3着に入った。
先代オーナーの吉原貞敏氏は、まだエアの冠名を使用する前の1977年にラッキールーラという馬でダービーを制覇した。しかし、同馬は菊花賞で1番人気を裏切り15着に大敗。2代目で現オーナーの吉原毎文氏が、エアシャカールで父の雪辱を果たしたということになる。
先述したようにエアサージュは過去2戦を逃げ切っていて、今回も好スタートを切れば、ハナを主張する可能性は高いだろう。「長距離の逃げ馬、短距離の差し馬」という昔からある競馬格言に照らしても絶好の狙い目。さらに人気薄となれば、さほど厳しいマークは受けないだろう。
ノーザンファームの有力馬たちが枠順に泣かされる中、エアサージュは好枠4枠8番を味方に「エア軍団」5度目の激走を狙う。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。