JRA関東から「怪物」ヒロイン登場か!? とても届かない位置からアーモンドアイ級ゴボウ抜き、プレサージュリフトの鬼脚を見逃すな
24日、阪神競馬場では3歳クラシックの掉尾を飾る菊花賞(G1)が開催。そして、菊花賞当日の新馬戦には例年ハイレベルの素質馬が集まりやすいことでも知られる。昨年はこのレースを制したシャフリヤールがダービー馬に輝いた。
今年も注目された「伝説の新馬戦」は、福永祐一騎手の1番人気リアドが勝利。2着に3馬身差の楽勝で、前評判に違わぬ大物ぶりを見せつけた。G1開催日のレースにトップ騎手が騎乗したこともあり、早くも来年のクラシック候補という声も出ている。
だが、裏開催となる東京5Rの2歳新馬(芝1600m)でとんでもない勝ち方をしたプレサージュリフト(牝2、美浦・岩戸孝樹厩舎)もまた、絶対に覚えておきたい1頭だろう。
勝ち時計こそ1分36秒7と目立たないものの、その勝ちっぷりが「怪物級」といえる内容だったことは特筆に値する。
「すごく切れる脚を使えますね。オンとオフの利いた走りができた」
デビュー戦でコンビを組んだ大野拓弥騎手もレース後のコメントで、末脚の切れにただただ驚くばかり。これが初出走の2歳馬にとって最悪ともいえる展開をひっくり返した上に、まだまだ余裕のある手応えだったのだから当然だ。
大外8枠16番プレサージュリフトは、出遅れて最後方からのスタート。逃げたローシュタインが1000m通過61秒9の超スローペースでラップを刻んでいく。最後の直線に入り、抜け出したローシュタインが、そのまま後続を離して完全に勝ちパターンへと持ち込む。
2番手3番手の馬が後退し、残り400mでも後続との差は開く一方。通常なら15番人気の超大穴がスローを味方に大波乱の決着となるところだが、1頭だけ大外から異次元の脚で伸びて来たのがプレサージュリフトだ。
大外から楽な手応えで伸びると、瞬く間にローシュタインを交わし去り、ゴール前では流す余裕も見せながら3馬身差の圧勝。鞍上から激しく鞭を入れていた2着馬とは、対照的な姿である。
「ちょっと次元の違う走りでしたね。改めてレースを見ても大野騎手はほぼ馬なりで上がっていっているんです。超スローを出遅れた上にノーステッキで楽勝していますから。まるでアーモンドアイみたいでした(笑)
しかも上がり3ハロン33秒3だったわけですから、他馬が止まって見えたのも仕方がありません。これはひょっとしたら怪物級かもしれませんよ」(競馬記者)
出遅れたこともあり、プレサージュリフトの勝ち時計が平凡だったことについては、それほど割り引く必要もないだろう。評価すべきは本気を出していない中で、これだけのポテンシャルの高さを見せたことだ。
ハービンジャー産駒で母シュプリームギフトの血統は、今年のアイビスサマーダッシュ(G3)で古馬相手に勝利を挙げた3歳牝馬オールアットワンス(父マクフィ)の半妹。
さらにデビュー戦で披露した上がり3ハロン33秒3の切れ味は、前日土曜に行われた古馬のマイル重賞・富士S(G2)で後方17番手から上がり最速の鬼脚を見せて2着に入ったサトノウィザードと同じ。血統的に短距離寄りとはいえ、底力の問われる東京のマイル戦を余裕十分に突き抜けたなら、距離の融通も利きそうな雰囲気もある。
関東で登場したニューヒロイン候補を覚えておいて損はないはずだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。