JRA昨年シャフリヤールが勝った「伝説の新馬戦」、注目のレースを制したのは弟ではなく噂の5億円馬、福永祐一「伸びしろを感じる」
24日、阪神競馬場で行われた5Rの2歳新馬(芝1800m)は、福永祐一騎手の1番人気リアド(牡2、栗東・友道康夫厩舎)が優勝した。ゴール前、楽に抜け出して2着馬に3馬身の差をつけての完勝。単勝オッズ1.7倍の下馬評に応えた。
「しっかり厩舎が準備をしてくれていて、スタートも走り方もよく上手に走っていました。距離はもう少し目処が立ちそうです。伸びしろを感じる馬ですね」
すでに視線は目の前の勝利よりも、早くも次走を見据えているコメントが出ている。“予定通り”の快勝に福永騎手の手応えも上々だ。
1番人気がリアド、2番人気にシャフリヤールの半弟アルファヒディ、3番人気トルナヴァが続いて3頭が単勝一桁台。オッズ的には3強ムードでも、ただただリアドの強さばかりが際立った。
10頭立てのレース。好スタートを決めたトルナヴァを制し、最低人気タケトンボがハナを奪う。2番手に引いたトルナヴァを見る形で、リアドは外目の4番手から追走する。その後、隊列が大きく変わることもなく、最後の直線でトルナヴァがタケトンボに襲い掛かる。
残り200m過ぎにタケトンボに並びかけたトルナヴァを外から一気に交わし去ったのが、リアド。2着争いを尻目にあっさりと3馬身の差をつけて悠々のゴールで、ここではモノが違うと言わんばかりの圧勝劇だった。
同馬は2019年のセレクトセール当歳において、歴代5位の5億760万円(税込)で落札された超高額落札馬。かといって高額落札馬が必ずしも価格相応の結果を残すとは限らないのも競馬である。今後、オーナーが元を取れるかどうかはまだ分からないとはいえ、まずは好発進を決めたことは大きいだろう。
「福永騎手は昨年のこのレースをシャフリヤールで制していますが、弟のアルファヒディはC.ルメール騎手が騎乗して5着と精彩を欠きました。兄と同じサンデーレーシングの馬だけに、騎乗するチャンスもあったと思います。
ですが、リアドとのコンビで結果を出したのはさすがですね。大塚亮一オーナーの所有馬では、春の天皇賞(G1)をワールドプレミアで制しました。期待の5億円馬を任されたのも信任の厚さでしょうね」(競馬記者)
毎年話題に上がる菊花賞当日の新馬戦は、「伝説の新馬戦」とも呼ばれている。
2008年にはアンライバルド、ブエナビスタ、スリーロールスの3頭が後のG1馬に。また、09年にはローズキングダム、ヴィクトワールピサ。12年エピファネイア、18年ワールドプレミア。そして昨年の同レースを制したのが、今年のダービー馬シャフリヤールだったように、過去このレースでデビューした馬からは数多く名馬が誕生した。
噂に違わぬ大物ぶりを見せたリアドもまた、偉大な先輩たちに続くことが出来るだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。