JRA 矢作芳人師「コントレイル敗戦級」ショック!? 厩舎ゆかりの「良血馬」期待の次期エース候補が無念の戦線離脱……
先月31日に開催された天皇賞・秋(G1)は、横山武史騎手のエフフォーリアが三強の追い比べを制して優勝。2002年のシンボリクリスエス以来、19年ぶりとなる3歳での盾制覇を成し遂げた。
一方、ゴール前で猛追を見せたものの、勝ち馬に1馬身届かず2着に敗れたのが、復権を懸けた昨年の三冠馬コントレイルだ。
管理する矢作芳人調教師はレース後、「体調が良かったので負けられないレースだった。1番人気だったので申し訳ない」と肩を落とした。
そんな矢作師だが、どうやら秋の天皇賞が行われる数日前にも、思わず意気消沈するような事態と遭遇していたようだ。
「どうやら2歳のディーンズリスターが故障してしまったみたいですね。同馬は母がラヴズオンリーミーで、ドバイターフ(G1)を勝ったリアルスティールなどの弟にあたる、矢作厩舎ゆかりの血統馬です。
師はPOG(ペーパーオーナーゲーム)関連の取材に対し、『馬っぷりは最高。きょうだいのなかで一番いい』などと話し、大きな期待を寄せていたようですが、怪我が判明したことで肩を落としていたようです」(競馬誌ライター)
ディーンズリスターは、今週末にアメリカのG1・BCフィリー&メアターフに出走を予定しているラヴズオンリーユーの全弟にもあたる。一口馬主クラブのサンデーレーシングにて、総額1億5000万円で募集されている期待の超高額馬である。
昨年の暮れにも一頓挫あり、ここまで時間をかけてじっくりと調整。その甲斐もあってか先月22日には無事にゲート試験に合格。ここにきて順調に事が運び、デビュー戦も見えてきた矢先だっただけに、故障が判明しての戦線離脱はまさに無念の一言に尽きるだろう。
今後は怪我の回復を待ちつつ、来年の春頃の復帰を目指して調整されていく予定だという。なおPOGでも非常に人気の高かった同馬だが、来年5月に行われる日本ダービー(G1)への出走に関しては、残念ながら黄信号が灯ったと言わざるを得ない状況だ。
「矢作厩舎の管理馬は、コントレイルが今月28日に行われるジャパンC(G1)を最後に引退。ラヴズオンリーユーも同馬を所有する一口馬主クラブの規定により、来年の春には繁殖入りすることが予定されています。
いわば厩舎の2枚看板を失う中で、次期エース候補として期待を寄せていたと思われるディーンズリスターの戦線離脱は、それこそコントレイルが敗戦を喫したくらいのショックを師は受けているかもしれません」(同)
なお、毎年のようにクラシック戦線に有力馬を送り込んでいる矢作厩舎だが、今年の2歳に限っては現時点でそこまで目立った結果を残せていない。
先月23日に行われたアイビーS(L)には、“リスグラシュー2世”との呼び声もあったルージュラテールが出走したが、ほとんど見せ場なく6着に敗れている。ここのところ厩舎の勢いそのものが、いまひとつ芳しくないのかもしれない。
今週末に海外のビッグレースに挑戦するラヴズオンリーユーの健闘と、コントレイルの引退レース・ジャパンCでの快走。そして来春にはディーンズリスターが元気に戻ってきてくれることを心より祈りたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。