JRA 川田将雅、グレナディアガーズをまさかの「ポイ捨て」!? マイルCS騎乗馬「板挟み」でダノンザキッドを選んだ事情
今月21日に阪神競馬場で、秋のマイル王を決めるマイルCS(G1)が行われる。同レースには昨年の覇者グランアレグリア、今年のNHKマイルC(G1)のシュネルマイスターらが出走を予定している。
そして、その2頭と同じサンデーレーシング所属馬のグレナディアガーズ(牡3歳、栗東・中内田充正厩舎)もマイルCSへ出走する見込みだ。
グレナディアガーズは昨年の朝日杯FS(G1)を制し、2歳マイル王に輝いた。今年は4戦して未勝利だが、全て3着以内にまとめている安定感が持ち味。また、同馬のこれまでのレース全てで川田将雅騎手が騎乗してきたことが特徴として挙げられる。
しかし、『スポーツ報知』によると今回のグレナディアガーズの鞍上は池添謙一騎手が予定されているとのこと。これまでコンビを組み続けていた川田騎手とのコンビは解消になることが確実視されている。
川田騎手は6日に行われる米国のブリーダーズCで騎乗するので、翌週のエリザベス女王杯(G1)は新型コロナウイルスによる待機期間の都合上騎乗できない。ただ、指定のワクチン接種等を済ますなどの条件を満たせば、待機期間は10日で終了となるため、日程的にはマイルCSへ騎乗することは可能だが……。
「グレナディアガーズ同様これまで全レース川田騎手が騎乗してきたダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)もマイルCSへ出走予定です。
そして、川田騎手はダノンザキッドの方へ騎乗する予定です」(競馬記者)
ダノンザキッドは昨年ホープフルS(G1)を勝ち、グレナディアガーズと同じく2歳G1を制した実力馬だ。一時はクラシック最有力候補にまで上がったが、今年の春2戦はいずれも敗れ、その後は骨折が判明して約半年休養。先月の富士S(G2)で復帰したが、4着に敗れている。
グレナディアガーズはマイルを続けて使われているため、前走が初のマイル戦だったダノンザキッドよりマイルCSで好走する可能性が高いと考えられる。川田騎手がダノンザキッドを選んだ真意は何なのだろうか。
「当初は、ダノンザキッドが富士SからマイルCSで、グレナディアガーズが京成杯AH(G3)から米ブリーダーズCマイル(G1)へ参戦するプランで、どちらにも川田騎手が騎乗する予定でした。
しかし、グレナディアガーズ陣営が『出走できない公算が大きい』との理由で米国遠征を断念し、マイルCSへ切り替えた経緯があります。
本来であれば、川田騎手がマイルCSでグレナディアガーズに騎乗する可能性もあったと思いますが、ダノンザキッドは蜜月関係のダノックスの馬ですし、師匠の安田隆師が管理する馬。有力候補とみられていたダノンキングリーやダノンファンタジーがそろってマイルCSを回避したことからも、義理を重視する川田騎手としてもここでダノンザキッドから降りることはできないでしょう」(同)
川田騎手とはコンビ解散となったがグレナディアガーズだが、新パートナーの池添騎手はマイルCS歴代最多の4勝を誇る。また、代打騎乗の名手として知られ19年の同レースのインディチャンプ、20年安田記念(G1)のグランアレグリアをはじめ数々の大レースをテン乗りで制してきた。
一方のダノンザキッドも前走後に川田騎手が「ここから準備して次に向かえる内容だったと思います」と前向きなコメントを残しているように、本番のマイルCSでは大きな上積みが期待できる。2頭がどのような走りをするか注目したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……