JRAで馬券発売なら「大混乱」米ブリーダーズC初日に前代未聞の事態!? 「出走取消馬」が優勝の摩訶不思議に大ブーイング
現地時間5日(金)にアメリカ・カリフォルニア州のデルマー競馬場で開幕したブリーダーズC。その初日に前代未聞の事態が発生したという。
この日に行われたのは2歳馬によるG1・4レースなど。そのフィナーレを飾ったのは、ジュベナイルターフという芝1600mのレースだった。
このレースでは2頭が発走前に出走取消となったが、なんとそのうちの1頭が優勝するという異例の出来事が起こってしまった。
BC主催者によると、事の発端はスタート直前に発生したという。まず、2番枠のアルバーがゲート内で暴れ、前脚をゲートに引っ掛けてしまう。ゲート内に座り込んでしまったアルバーはこの際に負傷してしまい、出走取消となってしまった。
このあおりを受けたのがすぐ隣の1番枠にいた同じC.アップルビー厩舎のモダンゲームズだった。混乱を回避するため、係員によって前扉が開けられると、モダンゲームズはゲートを飛び出したという。
その数分後にはモダンゲームズの出走取消が場内にアナウンスされた。しかし、後にこれが混乱の元となってしまう。
出走は取り消しとなったものの、なぜかモダンゲームズは再びゲートの中に……。なんと賞金のためだけに走ることが許されるという異例の判断が下ったという。
15分以上遅れての発走となったジュベナイルターフ。レースに勝ったのはなんと出走取消扱いとなったモダンゲームズだった。2着に1馬身半差をつける完勝だったが、場内にはブーイングが鳴り響いた。
怒りの声を上げたのはモダンゲームズ絡みの馬券を握りしめていたファンだろう。文句なしの優勝だったが、出走取消扱いとなっているモダンゲームズ絡みの馬券はもちろん返還対象。陣営は1着賞金を手にしたというが、多くのファンは納得できないのは容易に想像がつく。
「現地の報道によると、どうやらモダンゲームズの状態を診た獣医師が、出走取消の判断を急ぎすぎたようです。場内にもアナウンスが流れ、ブックメーカーもモダンゲームズを出走取消としました。
ただし、対応は一律ではないようで、例えばあるブックメーカーは投票された時間帯によっては1着をモダンゲームズとして払い戻す決定を下したとか。とにかく、現地はまだ混乱が収拾していないようですね。このレースがJRAで発売されていなくて本当に良かったですよ(苦笑)」(競馬誌ライター)
BCの2日目にはラヴズオンリーユー、ヴァンドギャルドら日本の期待馬も登場する。日本国内の注目度もアップするため、混乱なく無事に開催されることを祈りたい。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。