JRA武豊、川田将雅、福永祐一も飛躍のきっかけ……、ターニングポイントは24歳!? 海外武者修行帰りの若手有望株に“覚醒”の予兆
海外遠征から帰ってきた坂井瑠星騎手が絶好調だ。6日(土)の京王杯2歳S(G2)をキングエルメスで勝利したほか、7日(日)と合わせて土・日で3勝、2着3回、3着2回で複勝率はなんと50%と、騎乗機会16回に対して半分は馬券に絡む大活躍を見せてくれた。
フランス遠征からの隔離期間を経て、10月16日から日本のターフに復帰。10月の成績だけで5勝、2着4回、3着5回の好成績を残すなど、デビュー6年目の坂井瑠騎手がいよいよ“覚醒”する予感を漂わせている。
1997年5月31日生まれの坂井瑠騎手は、今年で24歳。一方で現在、JRAのトップに君臨するジョッキーたちの24歳前後を振り返ると、皆往々にしてターニングポイントいうべき“節目”を経験していることがわかる。
例えば、今では誰もがトップジョッキーとして認める福永祐一騎手は1976年生まれで、24歳当時の2000年には年間84勝をマーク。これは前年の43勝を倍近く上回る勝ち星であり、大きな成長を遂げた。
また現在、最も注目を集めているといってよい85年生まれの川田将雅騎手は、23歳のときに皐月賞(G1)をキャプテントゥーレで制覇。自身初G1勝利を飾ったほか、同年の「中央競馬騎手年間ホープ賞」も受賞している。
福永騎手と同期だが、年齢違いで77年生まれの和田竜二騎手は22歳から23歳にかけて、テイエムオペラオーとのコンビで当時のG1戦線の主役を張り続け、また88年生まれの浜中俊騎手はデビュー6年目の24歳のときに、年間131勝を挙げてJRA全国リーディングジョッキーに輝いた。
ちなみにあの武豊騎手が24歳の時は、94年1月に24歳10ヶ月でJRA通算800勝を達成。もちろん現在までの史上最速・最年少記録だが、こちらはちょっと規格外の成績であり、坂井瑠騎手と比較するのは酷かもしれない。
また引退した騎手の中では、元JRAジョッキー藤田伸二氏はデビュー6年目の96年、フサイチコンコルドに騎乗して若干24歳で日本ダービー(G1)を制覇。これもある意味、比較にならないかもしれないが、早生まれ、遅生まれの関係で1歳程度の“誤差”はあれど、後に大成するジョッキーたちは皆、「24歳前後」で騎手人生のターニングポイントを迎えていたといえるだろう。こうした顔ぶれを見ると、後輩の坂井瑠騎手は今年か来年かのうちに、何かしらの「大仕事」をやってのけるかもしれない。
今回のフランス遠征だけでなく、過去にはオーストラリアなどでも武者修行を敢行するなど、若いうちから様々な経験を積んできた坂井瑠騎手。今後もその騎乗ぶりから目が離せない、注目の若手騎手であることは間違いない。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。