JRA 武豊、デイリー杯2歳S(G2)で2週連続V狙うも胸中複雑?多数のお手馬抱えるレジェンドに去来する「アンビバレントな心情」とは
6日に行われたファンタジーS(G3)は、新種牡馬シルバーステート産駒のウォーターナビレラがV。騎乗した武豊騎手は、弟の武幸四郎調教師と兄弟タッグで初の重賞制覇を達成。勝利インタビューでは「良かったです、母親が喜んでいるんじゃないですかね」と、その歓喜を語った。
そんな武豊騎手だが、今週も弟の幸四郎師が管理するドグマと共に、13日に阪神で開催されるデイリー杯2歳S(G2)に挑む予定だ。
母系の一族にベガやハープスターなどが名を連ねるキタサンブラック産駒のドグマは、8月の小倉芝1800mで柴山雄一騎手を背にデビュー。8番人気の伏兵評価だったが、中団追走から直線で鋭い末脚を繰り出して見事に白星発進。新種牡馬である父にJRA初勝利をプレゼントした。
2戦目は中山芝2000mの芙蓉S(OP)を選択。鞍上にはC.ルメール騎手を迎えて堂々の1番人気に推されたが、初戦とは打って変わり先行する手段に出ると最後は失速。必死に食らいついたものの馬券圏外となる4着に敗れている。
そのルメール騎手は今回ソネットフレーズに騎乗。新たなパートナーとして白羽の矢が立ったのが武豊騎手だ。
武豊騎手は先月30日、東京で行われた新馬戦のノアヴァンクールでキタサンブラック産駒に初騎乗。3番人気で11着と結果は伴わなかったが、今回は重賞の舞台で同産駒とタッグを組むことになる。モチベーションは高いに違いない。
なお、キタサンブラック産駒のJRA重賞出走は今回が初。レジェンドが初重賞のタイトルをプレゼントできるかも注目したいところである。
そんなドグマと共に2週連続の重賞Vを狙う武豊騎手だが、胸中は思いのほか複雑かもしれない。
同馬はここで結果を出せば、12月に開催される同じ距離のG1、朝日杯FS(G1)へと向かう公算が高いと思われる。しかし、同レースには武豊騎手のお手馬であるドウデュースとドーブネもスタンバイ。両馬のオーナーと武豊騎手は非常に懇意にしているため、ドグマは仮にここで勝利を収めたとしても、本番では乗り替わりとなることが濃厚である。
「武豊騎手は先週ウォーターナビレラで勝利しましたが、阪神JF(G1)ではキーファーズが所有するロンと共に出走することが濃厚であると見られています。仮に2週連続で重賞を勝利したにもかかわらず、本番では乗り替わりということになれば、嬉しいやら悲しいやらなんとも複雑な心境に駆られるかもしれませんね。
今回はドグマが強い勝ち方をすればするほど、武豊騎手の中には相反する思いが強く生じるかもしれません」(競馬誌ライター)
なお、仮にドグマがホープフルS(G1)に回ったとしても、武豊騎手にはアルナシームとトゥデイイズザデイというお手馬が存在するため、どちらかの馬が出走してくればドグマは乗り替わりとなる可能性が強いと見られている。
今年の2歳、豊富なお手馬を抱える武豊騎手ゆえの、贅沢な悩みともいえるかもしれない。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。