元JRA安藤勝己氏も苦言した「いばらの道」!? レイパパレはC.スミヨンと新コンビで香港C(G1)参戦も、距離不安は拭えず…
14日のエリザベス女王杯(G1)で6着に敗れたレイパパレ(牝4、栗東・高野友和厩舎)が12月12日に香港シャティン競馬場で行われる香港C(G1、芝2000m)の招待を受諾した。
また、これまで8戦でレイパパレの主戦を務めてきた川田将雅騎手がブリーダーズCフィリー&メアターフ(米・G1)を制したラヴズオンリーユーに騎乗予定のため、C.スミヨン騎手との新コンビでレースに臨むことも決まった。
レイパパレはデビューから無敗で今年の大阪杯(G1)を制し、一躍トップホースの座に躍り出た。しかしその後は宝塚記念(G1)3着、オールカマー(G2)4着、そして今月のエリザベス女王杯でも6着に敗れ、未勝利となっている。
敗戦が続くここ数戦で特に気になるのが、その激しい気性だ。
前走のエリザベス女王杯でもスタート直後から折り合いを欠き、ルメール騎手が何とかなだめようとするも、前半での体力の消耗が響いて最後の直線では失速。6着に敗れた。レース後のインタビューでは「折り合いを欠いて冷静さがありませんでした。やはり距離が長いかもしれません、コントロールが難しかった」と気性面の不安定さを語っていた。
今回、新たにコンビを組むことになったC.スミヨン騎手といえば、凱旋門賞(仏・G1)を2勝するなど世界で活躍し、日本ではエピファネイアでのジャパンC(G1)やラッキーライラックでのエリザベス女王杯の勝利が印象的な、日本でもおなじみの世界的名手である。2019年の香港マイル(G1)では日本のアドマイヤマーズに騎乗して見事に勝利を収めており、気性難のレイパパレをスミヨン騎手がどう乗りこなすか注目される所だ。
レイパパレを管理する高野調教師は「マイルでもと思いましたが、スミヨン騎手が2000mでも問題ないとのことでしたから」と明かしており「馬はいける状態です、距離が(エリザベス女王杯から200m)短くなるのは好材料」と世界的名手を配し勝利への意欲を見せる。
ただ、スミヨン騎手は実際にレイパパレに騎乗した経験はなく、距離は持つという話も、あくまで過去の戦績や映像などをみての判断と思われる。
SNSなどでは最近のレースぶりでは2000mすらも持つかどうか怪しい、という見る向きもあり、元JRA騎手の安藤勝己氏も自身の公式Twitterで「(エリザベス女王杯の敗因は)はっきりと距離やと思うね。最後の一年はマイル路線に専念するんやないかな」と現状はマイルが適距離ではないかとの見解を示した。
ただ、今年の香港マイルには香港で18戦17勝(内G1・4勝)、香港マイル連覇を狙う香港の最強馬ゴールデンシックスティが出走を予定しており、本馬との対戦を避けるため、やむを得ず香港カップに出走するという見方もあるようだ。
エリザベス女王杯の結果からもジャパンC、有馬記念(ともにG1)は距離が長すぎるため活躍の場を海外に求め、陣営の判断は吉と出るか凶と出るか。いずれにせよ、マイル路線には舵を切らずに中距離での続戦を決断したレイパパレの進路を決める戦いになりそうだ。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。