JRAジャパンC(G1)ダービー馬が競馬界の主役を張る時代はもう終わり!? 4世代ダービー馬揃い踏みも期待薄?
28日に東京競馬場で行われるジャパンC(G1)は4世代の日本ダービー(G1)優勝馬が出走を予定している。
ただ、近年のダービー馬は日本ダービー(G1)を勝って以降は、まるでそこで燃え尽きたかのように不振にあえいでいるケースが多い。ちなみに過去10年、ダービー馬が後にG1を勝利したのは、オルフェーヴルとレイデオロの2頭のみである。
今回ジャパンCに出走を予定している4頭も、3歳馬のシャフリヤール(牡3歳、栗東・藤原英昭厩舎所属)以外の3頭は、いずれもクラシック以降のG1を未勝利だ。
かつてはウオッカやレイデオロ、さらに前ではジャングルポケットやスペシャルウィークなどが古馬となってもG1レースを勝利し、その時代の競馬界をけん引する存在だったが、今やダービー馬が競馬界の主役として君臨する時代はもう終わってしまったのかもしれない。
近年は調教技術の進歩や育成施設の充実により2、3歳馬の仕上がりが早くなるに伴いデビュー時期も早くなりつつある。そのため、以前より早熟化が強まったという見方もある。また、ダービーには多くの陣営が一世一代の究極の仕上げで臨むため、そこで勝利したダービー馬は、激走の反動でその後の不振や怪我の発症に繋がっているとも言われている。
今回のジャパンCが引退レースとなる三冠馬コントレイル(牡4、栗東・矢作芳人厩舎所属)も、菊花賞以降、善戦してはいるもののG1には手が届いておらず、陣営がベストの条件と自信を見せた前走の天皇賞・秋(G1)も3歳馬エフフォーリアの軍門に下った。ここで敗れ引退となると、史上最弱の三冠馬という不名誉な称号をつけられかねないだけに、意地を見せられるか注目だ。
今年のダービー馬シャフリヤールは神戸新聞杯(G2)でまさかの馬券圏外の敗戦を喫した。不良馬場の中京を走ったダメージもあったのか、同じレースに出走した組は菊花賞(G1)で奮わなかった。また、マカヒキ、ワグネリアンも長らく一線級で頑張っているが、G1では入着が精いっぱいといったところで、勝ち負けとなると疑問が残る。
近年は外国馬の不参加や参加賞程度の出走が目立ったが、今年は一線級の外国馬が参戦する。また3年ぶりにC.デムーロ、R.ムーアら世界的な一流ジョッキーの騎乗も決まり、国内組では前走のアルゼンチン共和国杯(G2)で圧倒的な強さを披露したC.ルメール騎手騎乗のオーソリティや、悲願のG1制覇を狙うカレンブーケドールなど強敵が揃う。
名誉挽回を狙うダービー馬達にはまたしても厳しい戦いが待ち受けることになりそうだ。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。