JRAマイルCS(G1)「疑惑」の高速馬場にファン大混乱!? 安藤勝己氏「持ってる馬」だけでは済まされないグランアレグリアの勝因?とは

グランアレグリア

 21日、阪神競馬場で開催された秋のマイル王決定戦・マイルCS(G1)は、1番人気のグランアレグリアが引退の花道を飾る快勝。単勝1.7倍の人気に応え、マイル女王の威厳を保ったままターフを去ることとなった。

 断然1番人気のグランアレグリアが勝利し、2着に2番人気のシュネルマイスター、3着も5番人気のダノンザキッドという比較的平穏な決着に終わった今年のマイルCS。

 しかし、その一方で多くの競馬ファンが戸惑ったのが、大荒れに終わった先週のエリザベス女王杯(G1)との「ギャップ」ではないだろうか。

 10番人気、7番人気、9番人気という上位3頭だけでなく、11番人気、12番人気で掲示板(5着以内)が占められた、先週の波乱ムードはどこへやら……。秋のマイル王決定戦は6着サリオスまでが7番人気以内という、実力馬による力通りの決着だった。

 その大きな原因となったのが、舞台となった阪神競馬場の馬場の変化だろう。

 単純な上がり3ハロンだけを見ても、先週のエリザベス女王杯の最速が勝ったアカイイトの35.7秒。他も軒並み36秒以上の時計を要している。一方、1週間後のマイルCSではグランアレグリアとシュネルマイスターが32.7、32.9秒という出色の上がりを記録。

 ペースに加え、阪神の場合は内回りと外回りコースの違いもあるが、同じ競馬場の良馬場でここまで差がつけば、この1週間に「一体、何があったのか」と戸惑うファンが出るのも無理はないだろう。

「昨日までは先週のような時計が掛かる傾向が残っているイメージでしたが、今日になってガラッと変わった印象があります。

ちなみに昨日の阪神における上がり3ハロン最速は33.9秒と、なんとか33秒台でしたが、1200mのレースを最後方から追い込んでのもの。メインのアンドロメダS(L)の最速は35.0秒でした。

しかし、今日はアンドロメダSと同じ2000mの未勝利戦で35.2秒。10Rの武田尾特別(2勝クラス)でプログノーシスが32.8秒を叩き出したかと思えば、瞬発力勝負になったマイルCSではグランアレグリアの32.7秒、シュネルマイスターの32.9秒を筆頭に、軒並み33秒台という非常に速い上がりで決着しています」(競馬記者)

 この急激な馬場変化については、元JRA騎手のアンカツこと安藤勝己氏も自身のTwitterを通じ「当日に向いとる馬場になって」とマイルCSで有終の美を飾ったグランアレグリアの勝因の1つに挙げている。

 安藤氏は「持っとる馬の引退レース」と意味深な発言をするだけに留めているが、そこに「持ってる」だけでは済まされない「人為的な何か」を想像したファンは少なくないだろう。

 実際にマイルCS当日、SNSや掲示板では「阪神が先週の馬場と全然違う」「阪神、ローラーかけた?」「時計めちゃくちゃ速くない?」「インが伸びてる」など、この日の芝コンディションに戸惑う声が続々……。中には「昨日もう馬券買ったのに馬場が完全に想定外!」というような“悲鳴”も散見された。

「うーん、ちょっとわかりませんね。JRAが馬場の硬さを示す目安としてクッション値を発表していますが、先週の日曜が9.8という標準。今週の土曜も変わらず9.8でした。今日になって10.2(やや硬め)となっていますが、ここまで大きな時計の変化が起こるものとは思えません。

ちなみにJRAの公式HPにおける馬場情報によると、芝を刈ったのは16日の火曜であり、19日の金曜日には芝の生育管理のため散水を実施したそうです。つまり土曜と日曜日の芝コンディションの変化には関係ないようですが……」(別の記者)

 かつて2017年の高松宮記念(G1)が開催された週には、これまでの時計の掛かった馬場から一転して、1200mのレースが3連続でレコードが更新される珍事があった。

 これには高松宮記念のレース後、騎乗した騎手たちが「特殊な馬場」「馬場が硬すぎる」と言えば、安藤氏も「(JRAが)馬場いじったなら発表しないと」と警鐘を鳴らしていた。

 今や、多くのファンの予想にとって「馬場」は無視できないファクターの1つとなっている。今回が2017年の高松宮記念のような状況だったかは定かではないが、自然現象だけとは思えない急激な変化は、熱心なファンを混乱させるばかりだ。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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