JRA C.ルメール「単勝1.7倍」のドン詰まりに大ブーイング!? 行く先々で“前が壁”…近親に二冠牝馬を持つ良血馬がまさかの不完全燃焼
27日、東京競馬場で行われた3R・2歳未勝利は、横山武史騎手の2番人気サンストックトンが勝利。中団追走から直線は外に出されると、力強い伸び脚を披露し2着トーセンシエロに2馬身差をつける完勝を収めた。
サンストックトンは昨年のアルゼンチン共和国杯(G2)3着、現オープンのサンアップルトンの半弟。前走・中山芝2000mの未勝利では2着に敗れていたものの、同日に行われた芙蓉S(OP)の勝ち時計よりも速いタイムで駆け抜けていた。ここでは力が違った印象で、昇級しても楽しみな1頭となりそうだ。
一方、直線で“前が壁”となり、まさかの不完全燃焼に終わってしまったのが、C.ルメール騎手が乗った1番人気のエピファニー(牡2歳、美浦・宮田敬介厩舎)だ。
前走の新馬戦では、最後の直線で差を詰めるも2着。勝ち馬のライラックには1馬身1/4の差をつけられたが、それでもラストに見せた末脚は際立っていた。今回は確勝が期待されて単勝オッズ1.7倍という断トツの支持を集めていた。
芝1800mに12頭が集まった一戦。1枠1番から五分のスタートを切ったエピファニーとルメール騎手は、すぐさま先頭集団へ。4番手付近に一旦収まりかけたが、馬が頭を上げて口を割り、完全に引っかかった状態となってしまう……。ルメール騎手は逃げ馬で壁を作って何とか馬をなだめながら、4番手のインを進んで最後の直線を迎えた。
前では引き続き逃げたヤマニンライバリーが壁となっている。左は内ラチのため外に出そうと試みるも、操縦に手間取っているうちに外からメンアットワークに来られてフタをされてしまう。下げざるを得なくなった人馬はメンアットワークのさらに外に持ち出そうとするも、今度は隣にいたエレウテリアが壁となる状態に……。
そうこうしているうちに、当面のライバルであるサンストックトンは既に5馬身以上前で先頭に立っている。ラスト100m付近でようやく前が開けてきたエピファニーだったが、時すでに遅し。最後は気合を付けられた程度ではあったが、それでも前を行くエテルナは交わして3着まで上がった。
「行く先々で前が壁になってしまい、もったいないレースとなってしまいましたね。跳びが大きくて器用さに欠け、エンジンのかかりもやや遅いタイプなので、今回は内枠がアダとなってしまいました。また前半は折り合いを欠いていたように、気性も思った以上に難しいのかもしれません」(競馬誌ライター)
単勝1.7倍で連を外してしまっただけに、レース後ネット掲示板などには、「ひどい騎乗」「ルメールらしくなかった」「久々に競馬の怖さをみた」など、批判的なコメントが多く集まった。だが一方で、「馬の気性の方にも問題があったかも」など、一部擁護する声も上がっていた。
そもそも新馬戦で負けたライラックが、この日阪神で行われた京都2歳S(G3)で勝ち馬ジャスティンロックから1秒以上離された8着に敗退している。初戦のレースレベルを考えると、今回は実力以上に人気になり過ぎていたのかもしれない。
エピファニーは近親に、2015年のオークス(G1)と秋華賞(G1)を勝ったミッキークイーンがいる良血馬。今年の皐月賞馬エフフォーリアと同じエピファネイア産駒でもあり、来年のクラシック戦線での活躍が期待されていたが、先行きが不安になる痛い敗戦となってしまったようだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。