JRA横山武史が見据える「勝利」の道筋!? ヴィクトリーロード爆走で土曜3勝の固め打ちも、日曜は一転沈黙…掴みどころのなさは父親譲りか
先週土曜日の東京開催で、横山武史騎手が2R、3Rの連勝を含む1日3勝の固め打ち。自身2年連続2度目の関東リーディングを独走している。
その3勝はいずれも豪快な追い込みで外から差し切っての勝利だったが、注目したいのは、どれも直線馬場の三分どころのほぼ同じ所を通っていたことだ。
日々刻々と変化する芝コンディションの中で、馬場のどこを通るのが良いかを見極める能力が高いのだろう。また道中のポジション取りから、最後に自分が通りたい場所へエスコートする技術の高さを感じさせる騎乗ぶり。まさに、横山武騎手には勝利への道筋“ヴィクトリーロード”がはっきりと見えているのではないかと思わせる勝ちっぷりだった。
今年はエフフォーリアで皐月賞(G1)を制して、悲願のG1初制覇を達成。すると秋には菊花賞、天皇賞・秋ととんとん拍子にG1を勝ち、ここまでG1・3勝。今年はサンデーレーシングやキャロットファームなどの大手クラブの有力馬の主戦を任されることも多く、先日のマイルCS(G1)ではC.ルメール騎手の代役としてシュネルマイスターの騎乗を任されるなど、騎手としての地位を盤石なものにしようとしている。
一方で、日曜日は6鞍に騎乗し、東京2Rのサトノレギオンでの3着が最高。その他の5鞍では、すべて人気よりも大きく着順を下げる結果となってしまい、浮き沈みの激しい2つ日間となった。
関係者からは天性の肝の据わりっぷりと評価される横山武騎手は、思い切った騎乗が強みで、実際に日曜日のジャパンC(G1)でもアリストテレスにテン乗りで騎乗し、思い切った逃げを打ち場内を沸かせた。
だが、その思い切りが裏目に出ることも多く、一か八かのイン突きや早仕掛けが嵌らなければ大敗という場面が日曜日には多く見られた。こういったある意味思い切りの良い騎乗は、その独特の感性による騎乗で数々の偉業を達成しながら、離れた後方に大胆に構える作戦を「ポツン」などと揶揄されることもある父・横山典弘騎手と似ているのかもしれない。
今週土日のように勝ちまくったかと思えば人気を大きく裏切る競馬が続くなど、まだ荒削りな部分がある横山武騎手。だが、父譲りの度胸満点の騎乗と、緻密なコース取りを武器に、もうすでにファンの間では『買える騎手』として認知されている。
まだ5年目ながら横山武騎手の目には、父のように日本を代表する騎手へのヴィクトリーロードが、もう見えているのかもしれない。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。