JRA 名門・国枝栄厩舎から「スノーフォール」級が登場!? C.ルメール予言的中も「ビックリ!」高速馬場だけが要因じゃない“衝撃レコード”の真相
28日の東京競馬場で行われた4R・2歳未勝利戦は、C.ルメール騎手の1番人気ウィズグレイス(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)が勝利。2戦目で待望の初勝利を上げた。
「次の東京で勝てる」
中山競馬場の新馬戦で5着に敗れた際、ルメール騎手が放った言葉だ。そんな“予言”の通り東京で、それも素晴らしいパフォーマンスで勝利した。
芝2000mの14頭立て。前走と異なり五分のスタートを切ったウィズグレイスは、枠の利を生かしてハナへ。
番手追走のシャフリヤールの半弟アルファヒディにプレッシャーをかけられる展開。1000m通過が59秒2と2歳戦にしては速いペースでレースを引っ張っていく。それでも4コーナーでは、ダービー馬の弟の鞍上の手が盛んに動くなかルメール騎手の手綱は持ったまま。
余力十分に直線へ入ると、後続を大きく突き放して残り2ハロンのところで独走状態に。速いペースで走ったため、流石に最後は時計を要したが、後続に6馬身差をつける圧勝劇だった。
勝ち時計は1分58秒5。これは従来の2歳の日本レコード1分58秒9を塗り替えるオマケつきだ。
「開催最終週とはいえジャパンCデーは、例年時計の速い馬場になっています。とはいえ、終始外からマークされる展開を逃げて、ここまで速いタイムをマークできるのは能力があるから出来る芸当だと思います」(競馬記者)
レコードタイム更新は評価に十分値するが、近年は馬場の「高速化」によって一昔前より更新し易い。そのため一概にレコードタイムを更新したからといって、強い馬とは限らない。実際7月の戸畑特別(2勝クラス)で芝1200mの日本レコードを更新したプリモダルクは、昇級戦とはいえ次戦で最下位に敗れている。
しかし、ウィズグレイスはモノが違うかもしれない。
「ウィズグレイスの凄さは同日行われた他のレースと比べると分かります。1600mの通過タイムが1分33秒7でしたが、これは2歳の芝1600m戦2レースの勝ち時計より速いです。
また同日に芝2000mのレースが2勝クラスと3勝クラスでありましたが、どちらも勝ち時計は1分58秒4。ウィズグレイスとコンマ1秒しか変わりません。
開催週と比較しても、ウィズグレイスの時計は傑出しています。先週の東スポ杯2歳S(G2)の勝ち時計は1分46秒2でしたが、1800m通過時計は1分45秒7です。
自らハナに立って刻んだ時計だけに評価できますし、ウィズグレイスは2歳馬の中では突出しているかもしれません」(同)
ルメール騎手は「強かったね。ビックリ!」と満面の笑みでレースを振り返れば、国枝師は「スノーフォールだ!」と、同じディープインパクト産駒で今年の英愛オークスを制した3歳牝馬に例えた。
アーモンドアイ・アパパネと2頭の三冠牝馬を送り出した国枝厩舎から、来年再び「三冠牝馬」が誕生するかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……