JRAソーヴァリアント圧勝で、有馬記念(G1)「あの曲者」が急浮上!? エフフォーリア、タイトルホルダーの影に隠れた「第3の刺客」とは
4日、阪神競馬場で行われたチャレンジC(G3)は、1番人気のソーヴァリアント(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)が勝利。3歳クラシックとは縁がなかった“遅れてきた大物”が、単勝1.7倍の支持に応えて重賞初制覇を飾った。
「勝つ自信がありました。絶対能力があり、上に行けると思います」
レース後、鞍上のC.ルメール騎手が饒舌なのも当然か。レースは2番手から抜け出す横綱相撲で、2着ヒートオンビートに3馬身半差をつける圧勝劇。「大きな差(3馬身半差)で勝つことができました。G2、G1に行ける馬です」と絶賛されたように、ここでは格が違った印象だ。
次走はおそらく来年以降になる見通しだが、その一方でこの結果を受け、年末の有馬記念(G1)で急浮上した“曲者”がいる。
「ソーヴァリアントと同じ3歳馬のアサマノイタズラですね。先日、有馬記念挑戦が発表されていましたが、前走の菊花賞(G1)で9着に敗れていることで、そこまで大きな注目は集めていませんでした。
しかし、このソーヴァリアントをセントライト記念(G2)で2着に下したのがアサマノイタズラです。
今年の有馬記念に挑む3歳勢は、菊花賞を勝ったタイトルホルダーや天皇賞・秋(G1)でG1・2勝目を挙げた皐月賞馬エフフォーリア、クラシック三冠をすべてで好走したステラヴェローチェなどが大きな注目を集めており、アサマノイタズラはそれらの影に隠れる形でした。
しかし、ソーヴァリアントの今日の勝ちっぷりを見れば、アサマノイタズラが古馬相手にも相当高いレベルにいることが推測できます。有馬記念でも要警戒の1頭になったと言えるでしょう」(競馬記者)
記者が話す通り、9月に行われたセントライト記念では、先に抜け出したソーヴァリアントをゴール前できっちり捉えているアサマノイタズラ。さらに、この2頭から1馬身3/4遅れた3着オーソクレースが、後の菊花賞で2着したことを鑑みれば、菊花賞の敗戦はアサマノイタズラにとって距離が長過ぎた可能性が高そうだ。
また、2007年には9番人気ながらダイワスカーレットやメイショウサムソンを破ったマツリダゴッホに代表されるように、有馬記念は古くから「中山巧者」が活躍しているレースでもある。
セントライト記念を勝ったアサマノイタズラは、スプリングS(G2)でも2着するなど、中山実績は世代屈指の存在。有馬記念が行われる中山・芝2500mは、本馬にとって絶好の舞台になる可能性がありそうだ。
「コース取りとか、ペースで紛れが起きやすい。なので、ちょっと足りない馬でもチャンスが出てくるんですよね」
以前、そう話していたのはアサマノイタズラの鞍上・田辺裕信騎手だ。グランプリ4連覇が懸かるクロノジェネシスなど、現役屈指の強豪が集う今年の有馬記念だが、一発の魅力を秘めた3歳馬が穴党ファンの心をくすぐりそうだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。