元JRA藤田伸二氏「さすがユタカさん。空気を読める人」、チャンピオンズC(G1)ソダシにハナ譲った? 4着武豊インティに「ハナ行ってたら、楽に2着はあったかも」
5日、中京競馬場ではチャンピオンズC(G1)が行われ、1番人気に支持されたテーオーケインズが6馬身差の圧勝。JRAのG1初挑戦で、6月の帝王賞(G1)以来となるG1・2勝目を挙げた。2着に3番人気のチュウワウィザード、3着には14番人気のアナザートゥルースが入り、三連単配当は5万円を超えるヒモ荒れとなった。
一方、注目された白毛馬のソダシは果敢にハナを奪って粘り込みを図ったが、直線で力尽き12着に大敗。ダート初挑戦はホロ苦い結果に終わった。
レース直前まで1番人気に支持されていたソダシ。初ダートに懐疑的になりつつも応援馬券を買ったファンも少なくなかっただろう。JRA通算1918勝を誇る元騎手の藤田伸二氏もその一人だったようだ。
先週のジャパンC(G1)に続き、この日も自身のYouTubeチャンネルで生配信を行った藤田氏。「めっちゃ酔っ払ってます。具合悪いです」と開口一番に述べ番組はスタートした。
この日の主題はやはりソダシ。そのダート適性について、同じ白毛一族のユキチャンとホワイトベッセルに騎乗した経験を踏まえ「ダートは良い血統だと思う」と明言。そしてソダシの鞍上・吉田隼人騎手と週初めに電話で話したことも明かした。
その際、吉田隼騎手は「(チャンピオンズCでは)できれば外目の枠から好位で競馬ができれば……」と言っていたというが、引き当てたのは1枠1番という理想とはかけ離れた最内枠だった。
藤田氏が吉田隼騎手と話したのは枠順が決まる前だったようなので、もちろん最内枠に決まってからの作戦は知る由もない。ただ、藤田氏が『(スタートを決めれば)ソダシは逃げるしかない』と繰り返していた。実際のレースでも藤田氏の読み通り、ソダシが逃げる展開となった。
藤田氏によると、吉田隼騎手から「勝ちたいけど、圧勝か全くダメか、いいか悪いかどちらか」という発言もあったという。その言葉を信じたのか、藤田氏は「ソダシを応援する」としつつも、本命には7番のサンライズホープを抜擢。
本命馬からソダシを含めない三連複フォーメーション18通り。そしてソダシを軸とした馬単マルチ18通りの2パターンの買い目を披露した。
対抗には、テーオーケインズを挙げたが、ソダシのライバルになり得る存在を吉田隼騎手に聞いた際にチュウワウィザードとともに名前を挙げていたという理由だった。
そして迎えたレース時間。ゲートが開き、ソダシが行く姿勢を見せると、「隼人、行ききっちゃえ!行ききっちゃえって!」と藤田氏は声を張り上げ、最初のコーナーまでにソダシがハナを奪うと「お、隼人、いいぞー」と声援を送った。
逃げ候補の1頭のカジノフォンテンが控えると「これはある意味、(鞍上の)ミルコ(デムーロ騎手)が空気を読んでくれたね」とその心中を察し、同じく内目の枠から逃げる可能性があったインティが2番手に控えたことには、「ユタカさん(武豊騎手)まで2番手に。インティが抑え込んだっていうことは、やっぱりソダシを立ててっていうことになるから、さすがユタカさん。空気を読める人だなっていうふうに思いますよ。これがソダシじゃなかったらユタカさん絶対ハナ行ってると思う」と持論を展開した。
そして1000mの通過タイムを見て、ソダシがマイペースの逃げに持ち込んだことが分かると、「(もしソダシが)ダート巧者だったら、このままぶっちぎる可能性もある」と見立てを語ったが、最後の直線でソダシは失速。さらに藤田氏の本命サンライズホープも伸びを欠き、ゴールを待たずして諦めムードとなった。
結局、人気馬によるワンツー決着となったことを把握した藤田氏。すると吉田隼騎手の言葉を思い出したのか、「電話で俺が隼人に聞いていた『テーオーケインズとチュウワウィザード強いっすよね』って言っていた通りにきた……」と、後輩のヒントを馬券に生かせなかった後悔の念を口にした。
そしてレースを改めて振り返った藤田氏は、2番手を進んだインティが4着に粘ったことを知り、「ユタカさん、ソダシを振り切ってハナ行ってたら、楽に2着はあったかもしれないね」と、ソダシにハナを譲った武騎手の作戦が裏目に出たという見解を示した。
実際、インティに騎乗した武騎手はレース後、「ソダシがハナに行ったので、2番手から運びました。ただ道中力んで走っていて、それが痛かったです」とコメントを残している。ソダシが行く構えを見せていなければ、おそらく逃げる腹積もりだったのだろう。結果論だが、ハナに立っていれば力むこともなく、馬券圏内もあったかもしれない……。
生配信終了後、藤田氏は改めてチャンピオンズCの雑感をTwitterに投稿。「ソダシは仕方ないな… スタートは少し滑ったが勝ちに行く競馬の姿勢は観ていて納得だよ!」と吉田隼騎手の積極騎乗を褒めたたえた。
G1ではおなじみとなった藤田氏のYouTube生配信。今週の予想は残念な結果に終わったが、吉田隼騎手からの耳寄りな情報などヒントになる部分も多かった。今後も引き続き注目の存在だ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。