JRA M.デムーロ「後出しコメント」に田中将大もがっくり!? 地方の雄・カジノフォンテン敗因は連携ミス? まるで新馬戦のような内容に疑問の声

 5日に中京競馬場で行われたチャンピオンズC(G1)は、1番人気のテーオーケインズが6馬身差の圧勝。今夏の帝王賞(G1)に続く、2つめのビッグタイトルを手にし「1強時代」の到来を告げた。

 主戦の松山弘平騎手が「本当に強かった」と振り返るのも当然か。6馬身差の2着チュウワウィザードは昨年の覇者であり、この着差は同レース史上最大。ジャパンCダート時代にクロフネが残した7馬身差に迫る記録的な勝利だったからだ。

 また、スタート直前にはダノンファラオが暴れるアクシデント。狭いゲート内で待たされる格好となったが、松山騎手は「しっかり馬は我慢してくれて、厩舎の方でも練習してくださっていたので良い方に結びついた」とチーム一丸の勝利だったことを強調。スタートで後手を踏んだ前走JBCクラシック(G1)の反省を陣営がしっかりと活かした快勝劇だった。

 その一方、チームの「結束力」という点について疑問の声が出ているのが、船橋から参戦したカジノフォンテン(牡5歳、船橋・山下貴之厩舎)だ。

 昨年の東京大賞典(G1)で9番人気の低評価を覆して2着すると、今年の川崎記念(G1)とかしわ記念(G1)で中央馬を相手に勝利。1999年にフェブラリーS(G1)を勝ったメイセイオペラ以来となる地方馬のJRA・G1制覇へ、十分な現実味を帯びた挑戦だった。

 さらにカジノフォンテンは全12勝中11勝が左回りという、典型的なサウスポー。チャンピオンズCの舞台となる中京は陣営にとっても願ったり叶ったりの舞台であり、直前の追い切りでも「弾むようなフットワークで反応も抜群」とのコメントが飛び出せば、快挙達成を期待するファンのボルテージも高まるばかりだったに違いない。

 実際に、競馬好きで知られるプロ野球・田中将大投手が、レース前日に『netkeiba.com』で公開した予想では、カジノフォンテンが対抗「〇」評価。「地方馬だからと侮ってはいけません」と、中央馬と互角以上の戦いを演じてきた力に期待している様子だった。

 しかし、レースはそんな田中投手やファンの期待を大きく裏切る内容となってしまった。

 ここまでハナに立つか、番手の競馬で結果を残してきたカジノフォンテンだったが、この日は5番手からという消極的なレース。スタート直後こそ、ハナを主張した隣のソダシと並走していたが、外からインティが被せてくると、あっさりと引いた。

M.デムーロ騎手

 そして特にファンの疑問を呼んだのが、レース後のM.デムーロ騎手の「馬混みが良くないですね。耳を絞ったり、内にモタれたりしていました」というコメントだったという。

「デムーロ騎手の『馬混みが良くない』というコメントは、一見すると普通にも見えますが、以前からカジノフォンテンに注目していたファンからすれば“今更感”満載……。

まるで、今回がデビュー戦のようなコメント内容に『何故、事前に(デムーロ騎手に情報が)伝わってないの?』と言いたくなるところでしょうね。カジノフォンテンが馬混みを嫌うことは、陣営からすれば当然把握していたはずですから」(競馬記者)

 記者がそう話すのも今回、デムーロ騎手はカジノフォンテンとの初コンビだったからだ。

「カジノフォンテンはずっと船橋の張田昂騎手が主戦を務めていましたが、今回は中央に挑戦するということで、(中京で)乗り慣れたデムーロ騎手に白羽の矢が立った経緯があります。

本来、初コンビを組む騎手は最終追い切りなどで、相棒の感触を事前に確かめたりもしますが、カジノフォンテンは船橋所属。デムーロ騎手が直接コンタクトを取れたのはレース当日だったと思います。それだけに陣営との連携は重要だったはずですが……」(同)

 そういった経緯もあり、レース後にはネット上のSNSや掲示板などで「何故、ミルコ(デムーロ騎手)乗せた?」「何もできなかったな」「スローだったのに、なんで逃げない」「もったいないレース」とカジノフォンテンのレースぶりに疑問の声が続々……。

 中には「張田騎手でよかった」「陣営の判断ミス」など厳しい声もあった。

 レース後、デムーロ騎手は「馬はとても良かった」とカジノフォンテンの状態には手応えを感じていた様子。それだけに「自分のリズムで走れたら、もっと走れていい」と本来の走りができれば結果は違ったことを悔しがっている。

 デムーロ騎手といえば、2015年のサンビスタと18年のルヴァンスレーヴで2勝するなど、チャンピオンズCで抜群の実績を誇っていた。カジノフォンテンの陣営は、そんな手腕に期待を寄せ過ぎたのかもしれない。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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