未来の「菊花賞」本命馬!? コマノインパルスが母方から受け継いだ「純ステイヤー」の血脈は弥生賞で通用するか?


 これは京成杯終了後、競馬評論家として有名な須田鷹雄氏が自身のTwitter上に投稿したつぶやきである。確かに同馬の血統表を見ると、日本競馬の歴史を作ってきた歴代ステイヤーの名前が散見されるのがわかる。

 須田氏も名前を上げている父バゴは、2010年菊花賞の優勝馬ビッグウィークの父。バゴ産駒には函館2歳Sを勝ったクリスマスのような短距離タイプもいるだけに判断はむずかしいところだが、3000mが守備範囲外ということはなさそうだ。

 また母母父リアルシャダイはというと、京都の長距離G1を3勝した悲劇の名馬ライスシャワーを輩出し、ブルードメアサイアーとしてもイングランディーレやアドマイヤジュピタなどスタミナ豊富なステイヤーを送り出している名種牡馬である。

 しかも、さらに丹念に血統表を分析すると、祖母の母リンデンリリーは当時芝2400mだった1991年エリザベス女王杯の勝ち馬で、その父ミルジョージも「平成3強」とあだ名されたイナリワンや、1990年宝塚記念優勝馬オサイチジョージを輩出した長距離血統。

 もう一歩遡ると、リンデンリリーの母ランドナリリーの父には1974年の皐月賞・菊花賞を制して2冠を制したキタノカチドキの名前が登場する。ここまで行くともはや戦後日本競馬史の話になってくるが、要するに日本を代表するステイヤーの血脈を重ねて生まれたのが、コマノインパルスの血統表なのである。

 ただ、スタミナの裏付けが十分すぎるだけに、課題は現代のスピード競馬に対応できるかどうか。須田氏が「菊花賞の本命」と語った背景には、裏を返せば皐月賞やダービー、要するに瞬発力とキレ味が必要な舞台では切れ負けするかも…という不安が隠されているのだ。

「サトノクラウンやロジユニヴァースといった過去の勝ち馬を見れば明らかなように、弥生賞は皐月賞に比べてスタミナ寄りの実力馬が活躍するレースです。そういった意味では時計の速いスピード勝負になる皐月賞より可能性があると言えますが、コマノインパルス自身の2000mの持ち時計が速くないのは少し不安なところ。実際に、2分2秒台の決着だった京成杯では楽勝し、2分1秒台の葉牡丹賞ではレイデオロに切れ負けしています。今回のペースがどのようになるかはわかりませんが、仮に2分を割るようなスピードを求められるレースになった場合、案外アッサリ敗退する可能性もなくはないでしょう……」(競馬記者)

 世代牡馬唯一の重賞2勝馬ブレスジャーニーが回避を表明し、人気がさらに集中することは確実だろう。だが、コマノインパルスの敵はほかの有力馬ではなく、目には見えない「時計」ということになるのかもしれない。

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