JRAオジュウチョウサン、来年はエフフォーリアらとガチンコ勝負!? “感涙”中山大障害(G1)復活Vで「現役賞金王」へ
2021年の中央競馬も残すところ、ホープフルS(G1)が行われる28日(火)だけとなった。
この秋競馬を振り返ると、名馬が引退レースを勝利で飾るケースが目立った。まずグランアレグリアがマイルCS(G1)で有終の美を飾ると、翌週には三冠馬コントレイルがジャパンC(G1)を完勝。さらにラヴズオンリーユーが香港C(G1)でG1・4勝目を挙げた。
一方で、最後を飾れず競走馬生活を終えた馬も少なくなかった。ワールドプレミア、ダノンスマッシュ、ダノンキングリー、そして26日の有馬記念(G1)で惜しくも3着に敗れたクロノジェネシスなどだ。
そんな中、有馬記念の前日には引退のウワサもあったアノ古豪が復活Vを遂げたことも見逃せない。25日の中山大障害(G1)で障害G1・8勝目を飾ったオジュウチョウサン(牡10歳、美浦・和田正一郎厩舎)だ。
20年4月の中山GJ(G1)以来、1年8か月ぶりの勝利には、スタンドで観戦した多くのファンが感動の涙を流したという。高齢馬の活躍が目立つ障害レースとはいえ、ここ数年、オジュウチョウサンには「もう引退させてやってくれ」という声が目立っていたのも事実だ。
そんな不安の声を払拭する走りを見せたオジュウチョウサンだが、この勝利で来年も現役を続行することが確定的となったようだ。『スポーツ報知』によると、「長山尚義オーナーは『引退の話もあったけど、こういう結果が出て来年も期待しちゃうね。強かったし、安心して見ていられた』と現役続行を明言した」という。
「もし中山大障害で完敗していれば、引退する可能性は高かったと思います。しかし、予想を上回る安定した走りと飛越を見せたことで、オーナーも『まだまだ走れる』と確信したのでしょう。すでに具体的なプランも挙がっていて、3月の阪神スプリングJ(G2)から始動し、4月の中山GJを目指すようですよ」(競馬誌ライター)
ここで注目したいのがオジュウチョウサンの獲得賞金額だ。
中山大障害でオジュウチョウサンは1着賞金の6600万円を加算。生涯獲得賞金を8億6501万円に伸ばした。現役馬として、これは11億171万円のクロノジェネシスに次ぐ2位だが、同馬は数日後に登録を抹消される見込みだ。
つまり、クロノジェネシスの登録抹消と同時に、オジュウチョウサンが“現役賞金王”の座に就くことになる。
しかし、オジュウチョウサンがその座を明け渡すのも時間の問題かもしれない。有馬記念で1着賞金3億円を獲得したエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が7億3664万円で次点につけているからだ。
まだエフフォーリアの来年の予定は決まっていないが、国内専念なら次走は大阪杯(G1)が濃厚だろう。同レースの1着賞金は今年の1億3500万円から来年は2億円に増額されることが発表されている。
エフフォーリアが順当に勝利を収めれば、オジュウチョウサンを抜き去り、トップに躍り出るだろう。ただし、オジュウチョウサンが出走するであろう3月の阪神スプリングJ、4月の中山GJの結果次第では抜きつ抜かれつの激しい争いになるかもしれない。
オジュウチョウサンとエフフォーリア。戦う土俵は異なるが、来年はこの2頭の現役賞金王争いにも注目したい。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。