目指せ白い稲妻。白毛馬シロニイがオープン入りで金子オーナーの野望が見えた! さらに白毛馬軍団増殖で日本競馬が盛り上がる!
2月25日に小倉競馬場で行われた「くすのき賞」を快勝した白毛のシロニイ。日本では数少ない白毛馬だが、過去にユキチャンが地方交流重賞の関東オークス(G2)を勝利したくらいで、一線級の舞台で活躍する馬はいなかった。しかし3歳の早い時点で2勝目を挙げてオープン馬となったシロニイは、今後皐月賞、日本ダービーを目指してトライアルレースに出走する予定だという。
今の獲得賞金で皐月賞に登録しても良くて抽選対象という状況であり、トライアルレースで権利を取るか重賞で2着以内に入ることが皐月賞出走の条件といえるだろう。今後は3月19日のスプリングステークス(G2・3着以内に皐月賞の優先出走権)か、毎日杯(3月25日・2着以内に入れば賞金的に皐月賞出走が可能の見込み)に出走を予定しているとのことだが、白毛馬だけにこのクラシック挑戦は大いに注目を集めると思われる。
仮に結果を残せず皐月賞や日本ダービーの出走を断念したとしても、ここまで5戦2勝2着3回の成績を残したようにダート適性は十分証明されており、地方交流重賞の兵庫チャンピオンシップ(5月4日・G2)、そしてJRA唯一の3歳ダート重賞ユニコーンステークス(6月18日・G3)からジャパンダートダービー(7月12日・G1)というローテーションも狙える。そこは百戦錬磨の池江調教師と金子オーナーのコンビ。芝でもダートでも盤石のプランが組まれているはずだ。
記録に残されている中で世界最古の白毛競走馬は1896年にアメリカで生まれたホワイトクロスだが、日本の白毛馬といえば1979年生まれのハクタイユーがもっとも古い。日本ダービー馬の父ロングエースと母ホマレブルから突然変異として産まれ、未勝利で引退して種牡馬となり、その遺伝子を継いだ産駒を世に送り出した。中でも同じ突然変異の白毛だった牝馬のカミノホワイトとの間に産まれたミサワボタンは、両親が白毛という非常に珍しい馬。日本で記録に残されている中で両親が白毛というのはこの馬だけかもしれない。
今やハクタイユーの血統名が見られることはほぼないが、新たな白毛一族としては「シラユキヒメ一族」が有名だろう。シラユキヒメはシロニイやユキチャンの母親だが、実は父にサンデーサイレンスという良血馬。父は青鹿毛、母ウェイブウインドは鹿毛という毛色なので、突然変異で誕生した馬だ。現役時代は1勝もできなかったが、産駒は地方交流重賞3勝のユキチャンを筆頭に9頭がデビューし、合計19勝をあげている。現在はシロニイと姉のマーブルケーキが現役で活躍しており、昨年5月には白毛として10頭目となる牝馬が誕生したという。
さらに引退して繁殖牝馬となったユキチャンからも白毛が誕生、そして同じ一族のマシュマロも昨年白毛を出産しており、おそらく数年後にはシラユキヒメ一族から産まれた多くの白毛馬が競馬場で見られるはず。ちなみにシラユキヒメの現役時代のオーナーはディープインパクトの金子真人氏。その産駒はすべて金子氏が所有しており、オーナーの思い入れの強さがうかがえる。
さらに将来的には金子氏が所有していたディープインパクトをシラユキヒメ一族に種付けさせ(現時点ではサンデーサイレンスの近親となり配合できないため、代を重ねて血を薄める必要がある)、白毛馬で日本ダービーの勝利を目指しているのに違いない。